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26年前の経験があるから「未治療死」を減らせる

2021年01月18日(月)

阪神大震災から26年が経過した。

あの時はまさに地獄絵であった。

コロナ禍と26年前は、似ている。

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あの日の出来事は3冊の本に、記録している。

もう誰も読まないだろうが、残したかった。


「町医者冥利」

「震災が与えてくれた町医者力」

「町医者力1」


26年前、約6500人が震災で亡くなった。

後の検証ではその1割は「未治療死」だった。


「未治療死」とは、

なにも治療されないまま「放置」されたために失われた命。

救えるのに救えなかった命。


今、全国に「自宅待機者」は1万人以上か。

でも「待機」ではなく、「放置」である。


「未治療死」予備軍が入院患者よりずっと多い。

まさに「救えるはずの命」が放置されている。


感染判明者は保健所の管轄下なので本当は手を出せない。

でも医者なので、死の危険のある人には手を出している。


昨年3月から「未治療死」を防ぐために、治療をしてきた。

それは阪神大震災時の「無政府状態」の経験があるから。


大規模災害時は「個人が世の中を動かす」と、3冊の本に書いた。

官や公という人間はおらず、所詮、人間を助けるのは人間である。


今日も自宅待機者の対応をボランテイアで行っていた。

みなさん死の恐怖に怯えていて、とても見てられない。


「こんなコロナ治療や携帯電話フォローはどこでもやっているのですか?」

「いえ、たぶん、ウチだけだと思いますよ。保健所の仕事なんだけどね」



保健所が悪いわけではない。不眠不休で頑張るけども、有限である。

保健所をパンクさせておきながら「放置」している国の責任は重い。


そもそも、「感染者=病院隔離」という考え方が間違っている。

在宅治療を原則として、重症者をトリアージしないといけない。


しかしわが県の知事さんは、「在宅療養は認めない」と公言されている。

開いた口が塞がらないとはこの事で、最悪の選択をした県民の自業自得。



もはや洗脳された人、考えられない人、恐怖で頭がいっぱいの人がいて

冷静な議論を待つ余裕はないので、自分の判断を信じてチームを動かす。


26年前の教訓を今に活かすべきだ。

それは「隔離」でも「入院」でもない。


「未治療死」を出さないことと、「日々の生活」を支えることだ。

人工呼吸器をつけない限り、治療の場はどこでも構わないはずだ。


自宅療養だって、酸素モニターも酸素吸入も点滴もできる。

しかしそのような発想が国や県のトップに皆無という悲劇・・・


ああ、今日も暗くなった。(ゴメン)

でも、26年目の追悼の日にこの文章を書いているので、それでいい。


たぶん、このブログを読んでくださっている皆さんは政治家よりも賢いはず。

叶うならばこれやコロナチャンネルが官邸や厚労省のトップに届いて欲しい。


PS)

コロナチャンネル #274


認知症の人にもPCR検査? 簡単に言うな!  →こちら


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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

「暗い」話、お腹にためると身体に毒です。毒は外へ出した方がいいです。
長尾先生が今のお気持ちを素直に綴って下さると、こちらも気持ちが楽になります。
明るく前向きでいい人ばかりの輪にいると、取り残された感があります。合わせるのシンドイ。
前向き・ポジティブ・元気はいいことだし、負けないで頑張る人、素晴らしい。けれども・・・
後ろ向きなことでも、出鼻をくじかないで出させてくれるような場があるといいんですけどね。

例えば長い階段を上がるのに、上の方から「頑張れ。着くまで待ってるから」とハッパかけるより、
降りてきて「ちょっと休もうか」と並んで座って待ってくれる・・・そして一緒に上がってくれる。
先生のイメージ、勝手ですがそんな風に感じてます。

今日から国会で「感染症法」改正の審議。どうなるのかな。
どうか、自由に動けずじっと耐えるしかない患者さん達が取り残されないように。
そしてストレスを抱えながら、仕事でも家庭でも人をケアしている方々の良心や使命感に甘えず、
国がきちんと報いてくれることを願います。

Posted by taco at 2021年01月18日 10:03 | 返信

長尾先生、お疲れ様です。ブログとyoutubeありがとうございます。
さて、政府はコロナの2類指定という根本的ミスにより医療破壊と経済破壊しているのに、入院命令従わない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、保健所への申告相違は50万円以下の罰金。日本政府酷い!
コロナ終わったら、外国移住した方が良いかも。

Posted by サンリオ大好き at 2021年01月18日 07:51 | 返信

先生が仰るように、今の状況は間違いなく「自然災害」で「災害医療」。しかも今後数年にわたって何度も繰り返し津波のように来るとてつもなくやっかいな断続的にくる災害です。
台風や地震と同じく感染症も自然現象なので人間がコントロールできるほど甘いものではない。
NYでは公園にテントを張って野外に即席病棟を作って対応している。これが災害医療です。
全体のごくわずかの1~2%の病床、1~2%の医師・看護師でこの大災害に対応しようとしている。
それが日本という国の医療の現実です。強制入院が必要だと言いながら、現実は莫大な数の入院が必要な高齢者が自宅待機させられて、ロクに医者の診察も治療も受けられず放置され急変して死んでしまう。
入院が必要な患者が入院できずに死亡した場合こそ、国に罰則?を設けるべきでは?
こんなひどい医療体制をこの国はいつまで続けるつもりなのでしょうか?

Posted by マッドネス at 2021年01月18日 09:57 | 返信

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