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抗原検査を上手に使いたい
2021年01月17日(日)
PCRの結果待ちの4日間に亡くなる人がいる。
ならば抗原検査でその場で確定したほうが
利益になるのではないかと思い至りました。
医療タイムス2021年1月号
抗原検査を上手く使いたい 長尾和宏
昨年9月1日から唾液によるコロナのPCRが当院においても行政検査としてできるようになった。12月末までの4ケ月間に約50名の陽性者が出た。しかし今年に入り、たった2週間で陽性者65名と4ケ月分を軽々と超えてしまった。これはもしかしたら変異株が紛れこんで感染しやすくなっていることなのだろうか。
一方、コロナ陽性判明後の自宅待機者が急増している。当院で診断した人の中でもついに自宅待機中に亡くなった方が出てしまった。家族が119番した結果、警察の検視が入った。最悪の結末だ。なんのための検査なのか?自分の無力さを痛感した。これは誰の責任だろう。高齢の感染者を1週間自宅待機させている行政の責任だと思う。今後、このような入院待機中の死亡が増えることは間違いない。しかし感染判明後は保健所の管轄なので我々は手を出せない。
一方、自宅待機者からの呼吸困難などのSOSが増えている。もう見ておられないので陽性者には携帯電話番号を教えている。「保健所に電話したらかかりつけ医に相談するよう言われた」とか「39度の発熱と息苦しさ」で保健所に100回電話しても相手にされない」など、自宅待機者からの悲鳴には携帯電話を教えることで不安を解消するしかない。もはや保健所はそのキャパシテイを越えているのでいわば「無政府状態やなあ」と感じる。 26年前の阪神淡路大震災の時も芦屋市民病院でそう感じたが、今まさに同じ感覚である。おそらく「発熱外来」に手を挙げて実際に発熱患者さんを診ている開業医も同じような気持ちではないのか。政府や専門家会議の関係者は、感染症病棟だけでなく僕のような街の「発熱外来」も視察して考えて欲しい。
ついに当院では、「陽性者外来」を作った。駐車場で待ち合わせ、時間外に屋外でまずはデキサート(57円)を注射して白血球とCRPとDダイマーを測定している間にCTを撮り再び車内で待機。自宅待機数日後の重症度や肺炎の程度を評価して、重傷者は保健所にフィードバックすることが目的である。 開業医で早期診断・早期治療、そしてオンライン診療ができたら重症患者のトリアージができ死亡者を減らせるのではないか。また国がコロナによる死亡者約4000人の臨床背景を多変量解析すれば重症化リスクを予測できるはずだ。開業医が診断だけではなく、重症化の予防と早期介入にも介入できる仕組みを早く作るべきだ。それには、発熱外来に手を挙げた診療所に裁量を与えてもっと活用すべきである。
すでに医療崩壊した今、今後は「総力戦」に備えるしかない。開業医や在宅医や訪問看護師も駆り出して地域の実情に応じた総合的な戦略を練るべき時だ。まず検査はPCRだけではない。在宅患者や施設入所者でコロナを疑った時、十分な唾液が出ず唾液PCR検査ができないことが多い。そうした時はPPEをしての抗原検査のほうが合理的ではないか。結果が判明するまで3~4日間もかかるPCR検査がもしかしたら自宅待機中の死亡やクラスター形成というリスクを高めているのではないか。
診断は早い方がいい。そう考えると今後、急増するコロナ患者さんにその場で結果が判明する抗原検査を活用すべきだ。当院では岐阜の松波英寿先生が考案されたドライブスルー検査を積極的に取り入れている。政府には薬局で抗原キットを販売して自宅で自己診断してもらうという道も真剣に考えてほしい。また短時間で結果が判明する最新式のPCR機器(200万円程度)を公費で購入し、発熱外来に配り補完的に使うという道もあろう。 世間はPCR検査一色になっているが、インフル診療を思い出し、PPE下で行う抗原検査の意義を今一度見直したい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに上記は「発熱外来」がパンクする前の記述である。
こんな風にやっていたけど、あまりにも患者さんが多すぎて・・・
一旦、保健所からの紹介は受けないことにした。
多すぎて対応できないので泣く泣く、一旦中断。
でも、かかりつけ患者さんの発熱対応や、いきなり初診の患者
への初診対応はやっているので、抗原検査は毎日、行っている。
もしかしたら、PCR検査が死亡者を増やしているのではないか。
そう思い、検査無しでコロナ肺炎の人にデキサートを注射したい。
ちなみに、高齢者の中には強制入院になるPCR検査を拒否する人もいる。
もはやここまでくると、まさに本末転倒で、なんのためのPCRなのか?
今日、高橋泰先生から電話を頂き、長時間、いろんな話をした。
今後は介護施設でのクラスター問題に移っていくのでその対策。
高橋先生と話が合うので、同じ考えの人もこの世にいるんだ。
それだけでも嬉しくなった。やはり話が通じる人がいるんだ。
今日も3人の自宅待機者とメールで対話した。
全員、38~39度の発熱が続いていて不安。
「自宅待機者のコロナ携帯でのフォロー」は続けるけど、
新規待機者は、申し訳ないけども、今は諦める事にした。
今、疲弊しているが、少しでも休養を取って
明日からまた頑張ろう。
PS)
コロナチャンネル #273
何度でも言うよ! 喫煙者の重症化リスク →こちら
あと4時間であの時刻になる。
26年前の今日、阪神淡路大震災があり、人生の転機になった。
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この記事へのコメント
長尾先生、そして、発熱外来のスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした
また、高橋先生からの電話が一番の労いの言葉になったみたいで、本当に良かったと思います
しかし、気になるのが「一旦中止」と「兵力を増強して出直す時期を待つ(1月16日のパンクしましたより)」
また、出陣する予定・・・
そこが、先生らしいのかもしれないけど、70歳の生前葬の一件もお忘れなく
マジ、ライブ配信楽しみにしているのだからね(^^♪
私が「戦争」が嫌いな一番の理由は、死ななくていい命や死にたくない命まで、簡単に奪っていくから
映画の「男たちの大和」はDVDで観ました
渡哲也さんの「ただ一人の兵も無駄に死なせるわけにいかん」のセルフは、痺れる以外の何物でもない
カッコ良すぎ
本当、渡哲也さんは凄すぎ
もし、仮に戦艦大和が港を離れるのを見送ることが出来るなら、黙って敬礼するしかない
しかし、少し、前に知った「大垣空襲 元少年兵の証言」
ネットで「大垣空襲 元少年兵 」→「新聞記事はこちらから」
「軍記に反して市民を逃がす」の見出しがあります
これを読んでいて、今のコロナ過の空気と似ている気もします
本来なら、自分で歩ける人達まで歩けなくしてしまっている任意の自粛警察の方々
「正義中毒」や「情報災害」という知りたくもない言葉
これ以上悲しい事が起こらないでと祈るだけ
でも、神様や仏様に祈ったって仕方がないと思う
私に出来る事は、空元気でもいいので、自分の足で歩いていくこと
また、一人で歩ける方々の足まで奪わないで欲しいと願うことだけです
Posted by ナオミ at 2021年01月17日 07:54 | 返信
「医療崩壊」! 長尾先生が言われると、これほど重いものはない。
「検査待ち中に死亡」「入院調整中に死亡」・・・。
「欧米の100分の1」と言われ「日本モデル」「フアクターX」と自ら持て囃した日本の「感染者数と死亡者数」。
なのに「医療ひっ迫」をアッという間に通り過ぎ「医療崩壊」とは、なんてこった。
「命の選択」どころか、医療に「無縁の死」を自宅で迎える2021年となった。
なぜこんことに?ということは、多くの方が指摘されるとおり。
ひとびとの「不安」や「怖れ」は、この1月、大転換した。
「何をめざすのか。いまどこにいるのか。ロードマップを示せていない。」
「私たちが挑んでいるのが400m走なのか、800m走なのか、42kmのマラソンなのか。序盤か中盤か、どの地点にいるのか。それによって走り方も心構えも違ってきます。」
「際限のない軍拡競争のように、パンデミックに倒すべき相手はいない。闘うのではなく、ウイルスを社会に取り込んでいくという感覚が必要なのだ。」(1.15 山本太郎・長崎大)
「東京オリンピック」の政治利用や「内閣支持率」保持しか頭にないスカ政権。
緊急事態期限切れ前に、かつ世界から促される前に、「東京オリンピック中止」を宣言すべきだ。
「100年に1回」か「10年に1回」のパンデミックは、あと2,3年は続く。
「瀬戸際」「勝負の」「うち克った証し」・・・。「ハイハイ」と従う閑人は1人もいなくなった。
自公(維)政権は、法改正にかこつけて、「支持要請に従わないものは罰金禁固」にするという。
てまえの「不作為による悶死」を不問に付して、「補償なき強制」に踏み切ろうとしている。
「地球災害」から「国民の生命」を守るためも、自衛隊・防衛省は解体し、方面別救助隊・防災省で対応すべき時期だと思う。
Posted by 鍵山いさお at 2021年01月17日 03:36 | 返信
インフルエンザは抗原検査ですからね。PCR検査で3~4日待機している間に瀕死状態になってしまう
例年この時期がインフルエンザ流行の最盛期。開業医が全国で抗原検査をやりまくる時期。
今年はインフルエンザがコロナに代わっただけ、いや昨年1月にすでにコロナに代わっていたはず。
なぜ例年のインフルエンザ診断検査と同じことができないのでしょうか?
開業医がいつでもどこでも抗原検査をやり、陽性が出ればデキサメサゾンなり抗血栓薬なりを開始する。
抗原検査陰性ならPCRに回せばよい。疑い例も投薬する。診察も検査も投薬もすべて往診でやる。
訪問看護師と連動してオンラインも使って、酸素飽和度とバイタルを定期的に経過観察する。
たったこれだけの事を全国一斉にやり始めるだけでも重症化は抑えられるはずではないでしょうか?
Posted by マッドネス at 2021年01月17日 11:41 | 返信
私の職場は自治体経営の老健なのですが、つい先日、町長の鶴の一声で抗原検査を行いました。
事務長も師長も抗原検査の重大さを知らず、検査しようと嬉々としてやっている風がありました
結果、全員陰性だからよかったものの、一人でも陽性が出ていたら、、、と考えるとぞっとします
現在の利用者の検査や、施設の消毒、職員の検査、勤務調整、世間からの風当たりと風評、さまざまな難局にぶち当たる一歩手間でした
Posted by 老健職員 at 2021年01月18日 05:18 | 返信
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