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自宅待機者からの悲鳴
2021年01月14日(木)
通常診療と増える在宅医療、そしてコロナ対応で
超多忙だが、「自宅待機者からの悲鳴」も加わる。
一人ひとり話を聞いていくのは大変な作業である。
コロナ対応は大きく2つに分かれてきた。
1)コロナの診断(PCRや抗原検査、CT)
2)自宅待機中のコロナ陽性者への対応。
2)が急増してきた。
1)よりも話が複雑である。(本来、保健所の仕事なのだが)
当院を受診して陽性判明後、保健所の指示で
自宅待機中の死亡もついに1人出てしまった。
発熱から診断まで1週間かかる。
しかしそれから入院まで1週間。
その間に死んだら、それは誰の責任?
仕方が無い?それとも国の責任?
具体的な話をしてみようか。
【50歳代の人】
3日前にコロナ陽性が判明するも39度の発熱と呼吸苦が続くので
保健所に電話をしたら「長尾に行け」と言われて電話があった。
どんどん保健所から紹介されてくるが、この例はまずは電話相談から。
電話問診で「重症コロナ肺炎」が疑われるので、CTを撮ることに決定。
家族2人と自家用車で来院され、駐車場でご対面。
まずは屋外でデキサメサゾン注射と採血を行う。
そして診察の最後に5分間で胸部レントゲンと胸部CTを撮り車に戻す。
白血球11000、CRP23、CTで両側に結構な肺炎、酸素は98%。
酸素吸入は必要無いけども、「CRP23の中等度の肺炎あり」と
保健所に電話してSOSを求めて下さい、と説明し抗生剤を投薬。
これだけのことを30分程度で行うのだが「重症度」を確定し
保健所のトリアージの順番を上げてもらうことが目的である。
あと、デキサメサゾン投与で少しでも重症化を食い止める。
2類指定のなかで町医者にできることなど、この程度である。
それでも自分の重症度が判明するだけでも不安が軽減する。
もちろん僕の携帯電話を教えるがこれも安心させるためだ。
【80歳代の人】
妻がコロナ陽性で自宅待機中であるが、夫も家庭内感染したようで
寝たきりで立ち上がれない、と近隣住民(知人)から電話があった。
「今日1日だけでも保健所に100回以上電話したが無視された」と。
電話かける方もかける方やけど、無視する方ももう終わってるな。
「このまま死んだらどうするの?」
「あんた誰ですか?」
「近所のものです」
「子供さんは?」
「いるようだけど、よく分からない」
「じゃあ家族から保健所に直訴しないと無理ですよ」
「・・・」
自宅待機者の悲鳴が鳴りやまない。
テレビを観ると「死の恐怖」が増幅する。
こんななんともいえない患者対応を超多忙な診療と同時並行で行う。
「感染判明後のフォローの方が診断よりもずっと大変」だと、実感。
医療崩壊が終日報道されているが、本当の話である。
119番信仰は崩壊していることを知っておくべきだ。
今、まさに「戦時中」である。
「無政府状態」を感じるのは震災以来、26年ぶり。
でも、なるようにしかならん。
ウイルスの機嫌が変わるのを「待つ」しかないのか。
PS)
コロナチャンネル #270
受入れ拒否されるコロナ陽性の高齢者をどうするか? →こちら
今も神経難病で呼吸器を付けている在宅患者さんから電話が。
通常の在宅対応だけでも大変で、正直、「死にそう」である。
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この記事へのコメント
米国ニューヨーク州でCOVID-19で入院した患者5700人対象に実施された大規模調査(2020年3~4月)では、COVID-19に感染して人工呼吸器につないだ患者のうち、65歳未満の死亡率が76.4%、65歳以上の死亡率は97.2%、全体で88.1%が死亡した。
つまり人工呼吸器レベルのCOVID-19重症肺炎というのはそれだけ回復困難だという証左です。
いま日本で発表されている重症者も65歳以上が多いと思うので、おそらく人工呼吸器から離脱できず、転院どころかICUから出れずに病床を長期占拠している患者数がどれくらいいるのか?
病院に入院できずに亡くなってしまうか?病院に入院して医療機器につながれたままになるか?
どちらが幸せなのでしょうね?以上の事実を踏まえて明日は我が身だとよく考えるべきでしょう。
国家レベルで医療費という観点で考えると前者が多いほうが医療費は少なくて済む。コロナ病床が満床状態がこのまま長期間続いたほうがよいと考える人もいてもおかしくはない。そう考えると意図的にコロナ病床を拡充しない、東京などはむしろ半年前よりも大幅に削減しているという戦略も理解できるかも。
五輪という観点から言うと、あの程度であんなにパニックで大丈夫なのか?とむしろマイナスですが
Posted by マッドネス at 2021年01月15日 09:13 | 返信
姫路市で15日、市の医師会と連携し、自宅療養者に対する在宅医療を本格実施すると発表があったそうです。庁内の関係部局から保健師15人を集めて訪問看護チームを設置。週明けの18日以降、定期的に巡回し、症状把握や服薬・食事のアドバイスを行い、必要に応じて医師を派遣するそうで、全国でも珍しい取り組みとのことです。
ご自身も医師である姫路市の清元市長は会見で「高齢者は待機中に容体が急変するリスクが高い。見逃しがないよう、重症者は早期に洗い出す」と述べられたとのこと。
自治体の状況で可能・不可能はあるでしょうが、このような動きが広がるといいですね。
Posted by taco at 2021年01月16日 08:39 | 返信
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