このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

管だらけの末期がん患者さんが続々と在宅へ

2021年02月11日(木)

コロナ禍で自宅に帰ってくる末期がんの患者さんが増えている。

病院では家族と面会できない、死に目に会えない、などの理由。

しかし、それにしても管だらけの患者さんが多いこと、呆れる。

2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 


病院からは毎日、こんな問い合わせだらけ。


「長尾先生、家で週3回、腹水を2ℓ抜けますか?」

「長尾先生、家で胸水を抜けますか?」


もちろん。(オレを誰やと思とんねん!)

針を刺すだけだから簡単。


だけどね、

そもそもね・・・



「長尾先生、家で高カロリー点滴できますか?」

「長尾先生、胆汁の管やオシッコの管の管理は?」


もちろん。

でもね・・・・


「長尾先生、酸素の機械が2台必要だけど大丈夫ですか?」

「長尾先生、自己導尿が必要なんですが、大丈夫ですか?」


はい。

でもね・・・・


「長尾先生、インスリンの4回打ちも必要なんですけど大丈夫?」

「長尾先生、心臓とコレステロールの薬など20種類ありますが?」


高カロリーしながらのインスリン4回打ち、流行っているね。

いや、でもね・・・・



なんでこれだけたくさんの管をつけるのだろう?

なんでこんなにたくさんの不要な薬を出すのだろう?


これだけたくさんの管と薬があるのに、一番大切な

緩和ケアのお薬や利尿剤が全く出ていない、不思議。


僕の仕事は、沢山の管をどんどん外していくこと。

僕の仕事は、沢山の薬を徐々に減らしていくこと。


僕の仕事は、痛みを評価して、オピオイドを処方すること。

僕の仕事は、痛みを和らげて、食べて笑顔を取り戻すこと。


でもね・・・

患者さんや家族は、こんな町医者の言う事など簡単には信じない。


普通は、まあそうだろう。

でもね・・・


「腹水・胸水、抜いてはいけない」という僕の新聞記事を見せる。

「平穏死・10の条件」という本の要約も渡すが、信じてくれない。


寝たきりの人に「来週また抗癌剤を打ちに来い」と言われた人には

「抗がん剤・10のやめどき」も見せるけど、キョトンとしている。


まあ、そうだろうね。

病院の医療と180度、真逆。 真反対のことばかり、だからね。


仕方が無いので「痛くない死に方」の映画のチラシを取り出す。

すると子供か孫の誰かが、「その映画、知っている!」と言う。


僕は、内心「やった。少し理解してもらえるかもしれない」と。

こんな具合で、異文化の呪縛を解くのに最低でも1時間かかる。




余命いくばくもない末期がん患者さんへの1日2リットルの高カロリー点滴は

・がん細胞を利するだけ(早死にする)

・心不全、肺水腫で呼吸が苦しくなる(溺れる)

・胸水、腹水が酷くなり苦しがる(抜いてまた点滴する)

・腸閉塞、嘔吐で、一切食べられない。(生きることは食べること)

まさに百害あって一利なし、であるのだが、まあ揃いも揃って

全員、管だらけで家に帰って来るので、説明に時間がかかる。


やはり、「映画」という方法が、一番分かり易いみたい。


「痛くない死に方」の中の奥田瑛二さんの台詞がまさにそれ。

「けったいな町医者」の中で僕が本気で怒っているシーンも。


僕はすべてを捨てる覚悟。

コロナの話、じゃないよ。


間違いだらけのがん終末期医療、認知症医療、薬漬けの医療に

本気で「間違っていますよ!」と声を上げる2本の映画である。


でも、大病院の医者はそんな映画を観るわけない。

100歩譲って観ても理解できないし、信じない。


しかし、僕の言う事が分かる遺族が1500人くらいはいる。

うちのスタッフやOB、そして全国に同志の医療者が沢山いる。


もし10万人の市民が、2本の映画を観てくれたら、もしかしたら。

大病院の間違いの医療者に届くかもしれない、という夢、がある。


それは「善意」だからタチが悪い。

「不作為の無知」だから、厄介だ。


そんな気持ちを抱きながら、次から次へと患者宅を走り回っている。

内心、激しい「怒りの炎」を燃やしながら。


そんな夢、

夢かな?


でも、本当に医療を変えたい。

映画という手法で変えたい!


いざ、勝負の週末を迎える。

コロナよ、邪魔するなよ!



PS)

コロナチャンネル #298


今年オリンピックを開催すれば、日本のコロナ対策は台無しになる! →こちら


報道特集を観られた方がたからの沢山の励ましの手紙やメール、

なかには寄付の申し込み、ありがとうございます。嬉しいです。

でも大丈夫。心は全く折れていないので、大丈夫。

コロナよりも映画で頭がいっぱい。

いや、映画もまずはコロナ次第か。


2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

最近私は「西洋医学は人を幸せにしているのだろうか」と本気で考えるようになりました。
(1)ガイドラインに従うだけの治療では、薬が増えていくばかり
(2)医師の裁量権がどんどん狭められている
(3)病気を治すことにのみ焦点が当たり、患者さんサイドの快適性・満足度は二の次
(4)そもそもちゃんと薬がいい働きをしているのか???効果判定という発想もない
(5)「自然な死」すらなるべく回避しようという風潮

認知症の診療をメインにしているとこのあたりがよく見えてきます。
今回の新型コロナ騒動でこの違和感はピークになりました。正直もう医者やめたいです。

Posted by 広島の赤牛 at 2021年02月11日 09:35 | 返信

末期がんの濃厚医療は誰のためにあるのでしょうか? 患者さんや家族も自分達の頭でよく考えないと。
身体をボロボロにして病院を儲けさせるためだけの目的の医療など患者さんはキッパリと拒否できるようになってほしい。医療は診療報酬という利権がある。利権のために死にゆく人に濃厚医療を推進される。
こんなに医療資源をムダに使っている国は他にあるだろうか?この医療資源(人的資源も含めて)はコロナなど急性期医療対策に回すべきでしょう。こうしてムダな慢性期の医療費は膨張して、医療費をケチるために何が混在してるかわからない怪しいジェネリックを推奨する?何をやりたいのか理解できない。
映画を観て、書籍を読んで、1人でも多くの現在・未来の患者さん達が、自分の頭で考えて、自分にとってムダな医療は一切受けない、医者の利益誘導には乗らない、という意志を強く持ってほしいですね。
患者さんの意志を最大限尊重してくれる主治医を選びましょう。医療は患者さんのためにある。

Posted by マッドネス at 2021年02月11日 10:29 | 返信

長尾先生ご無沙汰しております。

本日、ズームセミナーに参加しておりました。
映画紹介のコーナーに差し掛かり思わず先生の映画の宣伝をなんて思い、おこがましくもパネリストの皆様にチャットで送信した所に、もう本当にびっくりしました。
先生のお顔が登場!!!!!

介護現場も、間違った方向へ進みませんようにと願っております。
コロナ禍のせいなのか、神様の思し召しか、認知症の家族に今までとは違う症状が現れてしまいました。
私は家族を信じ、1ケ月が過ぎた今やっとかかりつけ医の言葉を受け入れることが出来ました。
解かっていたつもりが。。。。。
介護家族が介護の現場から、まだまだ除外され続けていることに苦しんでおります。
もちろん苦しいのは介護職員さん方も。。。。多分、疲労困憊かと。
互いに、やさしく交われる日が早く来て欲しい。

そしてまた、思考の整理。

思いがけない先生の出会いに、勝手に乾杯!!
今日もまた、発信をありがとうございます。

Posted by 轟 瞳 at 2021年02月11日 03:41 | 返信

毎日ブログとコロナチャンネルを楽しみにしております。
イベルメクチンとデキサメタゾンですが新型コロナの治療には未承認だったというのを逆に私は初めて知りました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB25AAL0V20C21A1000000/
長尾先生の身に何も起こらないことを心から願っております。
土曜日に銀座で映画を観ようと思っております。

Posted by KEN at 2021年02月11日 04:54 | 返信

先生の発信は、こんなちっぽけな存在の人間の所まで、しっかり届いています。
色々な立場の方...。
皆さん疲労困憊。
でも、まだまだ何かに生かされています。

本日、2度目の御礼を申し上げます。
長尾先生、毎日の発信本当にありがとうございます。

コロナは終わらずとも、穏やかな春を迎えたい。

Posted by 轟 瞳 at 2021年02月11日 05:08 | 返信

先生、すごいです。それはいつも思うんですが、今日の記事は詩 のようでした〜

Posted by 匿名 at 2021年02月11日 05:09 | 返信

はじめまして、3年前に尊厳死協会に入り、講演会に行き、さまざまなご著書を読ませていただいています。
阪神大震災で自宅全壊したときに、死を意識したことで、平穏死、尊厳死できる世の中になってほしいと常々思っています。今月後期高齢者になり、いよいよ、かかりつけ医を探さなくてはと実感しています。
長尾クリニックの100人のメンバーが誰も感染しなかったというのは、神がかっているように思いました。私も伊勢白山道のブログ読者なので、先生が読者であることを知り、感動しています。観音様がスタッフなら、先生はけったいな観音様かもしれませんね。今回の映画は医療の延命治療を大きく方向転換する力になるように思います。そしてそれはほんとに素晴らしい功績です。本を懺悔だとおっしゃる姿勢も素敵です。せめていろいろご著書を読むことで、私なりの協力をさせていただきます。ありがとうございました。感謝。
追伸、一昨年の東大での尊厳死協会の講演の最後に、神戸から来ましたと先生にご挨拶した一人です。ほんとにお忙しい毎日と思いますが、元気なお顔をコロナチャンネルで拝見できるように、毎日祈っています。

Posted by さき at 2021年02月11日 07:45 | 返信

初めまして。
ファイザーの元副社長で呼吸器が専門の博士がコロナワクチンの危険性を訴えているという情報が気になります。

Posted by 橙 at 2021年02月11日 10:43 | 返信

オリンピックについて長尾先生のお考えに賛同。恐怖の中で皆がびくびくしながらやらねばならないオリンピックなんて、日本人はもとより、選手も観客も、肉体的にも精神衛生上においても良くないと思います。オリンピックの精神にも反すると思います。新型コロナウイルスのパンデミックは世界規模の災害ととらえるべき事態です。そんな中、みんながそれぞれの立場で我慢したり傷ついたりしながらも、工夫してなんとか暮らしています。東京オリンピックは中止して、オリンピック選手のドキュメンタリーの配信や放送を企画してはどうでしょうか。新しいタイプのスポーツの祭典になるのではないでしょうか。

Posted by 遠い声 at 2021年02月11日 11:44 | 返信

新コロ時代…
在宅での医療度が高くなってきました。そうなると、家族負担が大きいです。
退院時、病院は、病院でやっていた医療行為をおうちにそのまま、持っていこうと調整する。
………ん?調整ではないです。スライドさせようとする。

おうちに帰ってきて、たくさんのアクセサリー(点滴、バルン留置、酸素…)をつけられて、ご本人は身動きが取れないです。訪看も24時間緊急対応しますと言ってはいるけど、それは、点でのサービスでしかなくて、実際にはご家族が管理するしかないです。
これが、老々介護だったら、ハードルは高くなります。さらに認知症だったら…と困っちゃいますね。

お医者さまだけではなくて、病院看護師は、療養上のお世話が看護であることを どこかに置いてきてしまってます。わたしもそうでした。。。あまりにも業務が多かった。
それに、退院させることが目標だった。おうちでどんな生活をするんだろう、なんて考える由もなかった。

ナイチンゲールは泣いていますね…

Posted by 宮ちゃん at 2021年02月11日 11:51 | 返信

がん末期なら何をしても助からないですから。
楽に死ぬのが目的だから、薬は基本的に麻薬だけで良いし、管なんか一本もいらないと思います。管がないと苦しみをどうしても取り除けない、というなら別ですが、滅多にないでしょ。
治らない病気になったら積極的医療はいらない。
先生は日本の良心と思う。

Posted by 匿名 at 2021年02月12日 10:00 | 返信

長尾先生
主人は熱心な信仰者で
毎日祈る事でガンの痛みがほとんど
ありませんでした。
そして長尾先生に巡り会えた事で
主人の嫌いな薬を飲まなくて
良かったです。(医療用麻薬のみ)
枯れるように平穏死しました。
そこの信仰の先生(主人が尊敬していた先生)
に映画の特別映画観賞券を差し上げたら
信者さんに映画を進めてくれてるそうです。
映画で世の中が変わりますよう祈ってます。

Posted by nyancyu at 2021年02月13日 09:13 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ