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毎日が平穏死
2021年02月25日(木)
映画は一瞬のことだけども、
現実は僕が死ぬまで、続く。
毎日ヘロヘロ、でも頑張る。
昨夜も朝起きてからっずっと秒刻みで走り回っていた。
末期がんが多い中、脳梗塞の方が3か月ぶりに退院した。
初めてお会いする本人とご家族と、小一時間、雑談をした。
忙中閑ありではないが、こんなホッとする時間が生き甲斐。
午前は往診と胃カメラで始まり、夜は発熱外来とドライブスルー診療。
これで終わりかな?と思ったら、そこから数人は駆け込んで来られる。
はっきり言って、とってもややこしい(=時間がかかる)のが多い。
家で暴れて動けなくなった人の家族の悲鳴に、20分ほど耳を傾けた。
そこにお看取りの電話が鳴った。
またまた膵臓がんの方であった。
このところ、肺がんと膵臓がんだらけ、と言っていい。
膵臓がんは1ケ月か早い人で2週間なので、あっと言う間。
ご家族みなさん、ネットなどで僕のことを知っていてくれた。
大切な方が旅立ったのに、なんだか盛り上がってしまった。
全員、その日か前日まで食べて、話して、笑って、旅立っている。
医療用麻薬がゼロだった人が半分。なーんて言ってもねえ。
こんな話、講演でいくら言っても専門医(なんの?)は信じてくれない。
テレビでビデオ付きで説明しても、本を書いても誰も信じてもらえない。
看取った家族と、あの世に行った家族だけが知っている。
そんなわけで、映画に関わることになったんだけどね。
看取りの後は、アルコール依存症の初診の方の往診。
30分ほど時間をかければ、本人は気を許して笑顔に。
気温2度の寒空の下、ご家族は泣いて、喜んでくれた。
「まさか、あの人が話しをして、診察させるなんて信じられません」
日付けが変わっても電話は鳴る。
要は、毎日が平穏死(尊厳死)。
朝6時、目覚ましで飛び起きた。(ドキドキした)
7時半の飛行機に飛び乗り、9時半に赤坂のTBSに到着。
10時から11時、「伊集院光と」というラジオに生出演。
この人気番組は、なんと100万人が聴いているそうだ。
伊集院さんは光っているし、隣の柴田理恵さんは美人だし。
うっとり眺めていたら、あっと言う間にラジオは終わった。
11:20の新幹線に飛び乗り、クリニックに帰る途中です。
14:30~15:30のサンテレビの収録にギリ間に合う。
今日撮る映像は、3月1日の16時台に放映される、そうだ。
同じ3月1日の朝日放送の「キャスト」にも、コロナで出る。
今日は、夕方、講演の収録もある。
「町医者26年目の今、思うこと」。
19時からは、秋の学会の実行委員会。(自分が総大会長)
1年延期しても、まったく先が読めず、凄く、悩んでいる。
そんなこんなで、今僕は何が言いたいのか。
「毎日が平穏死。しかし病院のスタッフは誰も知らない」
27日は15時から京都で舞台挨拶。
28日は再び銀座で2本舞台挨拶のハシゴをして、新宿で朝日カルチャーして帰阪。
そうそう、明日の夜21時から人生初体験の「クラブハウス」ライブもある。
と言っても、携帯電話で話すだけらしい。(まったく分かっていません)
というわけで、今日、あまり関係なかったラジオのアンケートの回答。
ご参考までに。
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この度は、お忙しい中、番組にご出演頂きありがとうございます。
スタジオトークにあたって、アンケートにお答え下さいませ。
▼コロナ禍の「在宅医療」。変化した部分は何ですか?
病院や施設が面会禁止ということなので在宅に帰ってくる人が増えています。 看取りの数も過去最高を記録し、大満足されています。 コロナ禍が在宅医療を後押しする格好になっています。
▼コロナ禍で、先生が現場の医師として最も声を大にして言いたいことは?
・
開業医でもコロナの早期発見と早期治療ができることです。僕は約200名のコロナ患者さんを診断し治療してきました。コロナもがん医療と同じで早期診断・早期治療が大切です。 第一波の時から自宅待機者全員に僕の携帯電話を教えて毎日メールや電話で相談にのってきました。オンライン診療やドライブスルー診療や往診などでも対応してきました。病院や保健所の負担を軽減するために、地域の開業医ができることが沢山あります。
▼先生が「在宅医療」に力を入れ始めたきっかけを教えて下さい。
貧乏な家に育ったので中学・高校時代から新聞配達や集金や郵便配達など人の家に毎日行っていました。高校時代に親父がうつ病から自殺して母子家庭になったので高校卒業後は自動車会社に就職して、生産ラインで働いていました。しかし一年発起して医学部に入学。入学式の日から「無医地区研究会」に入り長野県下伊那郡浪合村という人口800人の無医村で「家庭訪問」をしていました。40年前も今も医療は「こちらから赴く」のが当たり前だと思っています。
しか病院では往診は禁じられていました。10年目に「家に帰りたい」と言って飛び降りた末期がんの患者さんがいました。ショックでした。僕が殺したのです。その翌年におきた阪神大震災の時、市立芦屋病院の勤務医でした。修羅場になった病院で無我夢中で「トリアージ」をしていました。仮設住宅が立ちだした頃、意を決して5月に病院を飛び出し小さい頃に住んでいた尼崎の雑居ビルの2階で開業しました。在宅医療もするためです。第一号患者さんは、なんとクリニックの大家さんでした。
▼現在の在宅医療の傾向は?
在宅医療の需要は年々増えています。人工呼吸器をつけた小児の在宅やALSなどの神経難病の在宅もやっています。0歳から105歳まで600人ほどを24時間365日体制で診ています。夜間の医師は365日、僕だけです。 管だらけになって死ぬことがイヤな末期がん患者さんが続々と紹介されます。まずは抗癌剤の中止について話し合います。抗がん剤も「やめどき」があるのです。末期がんの人はほぼ100%看取っています。一方、老衰や認知症の方の在宅医療も増えています。
▼「末期がん」などの在宅医療。先生が最も大切にしていることは?
「緩和ケア」です。身体の痛みだけでなく心の痛みも和らげます。笑顔が出て食べられたらとりあえずは成功です。僕たちは日々の生活を「食べて」「楽しむ」ために生きています。末期がんになっても全く同じことで、普通の日常生活を安心して送れるようチーム(訪問看護師、訪問リハビリ、ケアマネなど)で支援します。多職種間の連携が命です。
▼患者さんのご自宅での「看取り」。 家族とのお別れにはなりますが、その「良いところ」と「大変なところ」を それぞれ教えて下さい。
良いことは、身体に「触れる」ことができることです。(コロナ禍では病院や施設では見ることも触れることもできません)。亡くなった後に患者さんを囲み笑顔で記念撮影することも時々あります。家族は泣き笑いですが、大満足です。そのためには事前に「平穏死」の冊子を渡して、「死の壁」の乗り越え方や看取りの心構え(119番しない)などを説いています。今後はこの映画のパンフレットを使おうかな。
大変なことは、夜中でも携帯電話が鳴り、時には往診をしなきゃいけないことです。年と共にさすがに辛くなってきました。在宅医は1000人看取ったら自分が死ぬ、と言われています。だから僕は50歳と60歳で二度も生前葬をやり、先日、所ジョージさんの番組で笑われたばかりです。現在、看取りが1500人を越えましたが、まだ死んでいません。僕は生来、一度も病気をしたことがありません。
▼「在宅医療」「ご自宅での看取り」について、医師や看護師に求められる 最も大切なことは何ですか?
まずは体が丈夫なことです。医療職は頭より体。体は運動で鍛えるしかありません。タフでないと人を助けることはできません。そしてなによりも患者さんをユーモアで笑顔にする「人間力」も必要です。病む人の気持ちを想像できないような人は医師や看護師に向いていません。
▼独居でいらっしゃるお年寄りが「増加した」とお感じになりますか? また、どんな時にそうお感じになりますか?
日本はすでに「おひとりさま」だらけ、です。町医者をしているとおひとりさまの増加を実感します。「老老認認」の仲の良い夫婦でも一人が亡くなればその瞬間から「おひとりさまの認知症」になります。しかし本人が望めば最期まで自宅で過ごせます。末期がんでも同じです。でもそんな実態はほとんど知られていません。僕は「おひとり様でも在宅看取りが可能な街づくり」の国家プロジェクトのリーダーをさせて頂いています。
▼先生が「介護の現場」をご覧になって、最もお感じになることは?
圧倒的な人手不足です。夜勤の回数が多すぎて肥満になりがち。生活習慣病で外来通院が必要だったり、メンタルダウンで離職する方も多い。僕は介護職のレベルアップをしないと医療が立ち行かなくなると考え、5年前に介護職に必要な医療知識を伝える国立(こくりゅう)認知症大学という私塾を開設しました。今はリモートで講義していますが、本来は国の仕事でしょう。今後、介護の質、在宅医療の質が問われています。在宅医療は量から質、の時代に移ってきました。
▼若手の頃と比べて、医療に携わるうえで、 今のご自身で「変わった部分」と「変わっていない部分」はどこですか?
やってもやっても未熟者のまんまです。万年研修医だと思って日夜、街中を駆け回っています。今日も朝一で来てすぐ帰って仕事です。心は20歳(本当は62歳)。でも歳をとるにしたがってさすがに、体力・気力が低下して少しボケも入ってきました。最近、イヤなことを言われたらボケたふりをして逃げる癖がつきました。
▼映画「痛くない死に方」。リスナーに見どころを挙げるとしたら?
すべてです。全編、無駄な台詞が一切ないので寝る暇がない濃い映画です。伴明監督は完璧な脚本を書かれました。数々の素晴らしい川柳の在宅医療や尊厳死・平穏死の理解を助けになります。静かだけど、心にズドーンと来る重い映画です。 僕の役を演じて頂いている奥田瑛二さんの台詞には、僕が患者さんから頂いた37年分のエッセンスが凝縮されています。僕の日常を描いたドキュメンタリ映画「けったいな町医者」も公開されています。2本を見比べて下さい。
▼今後、挑戦したいことはございますか?
シネ(シネマのこと)エデユケーションです。医学教育に映画という教材を使えたら教育効果が上がるはずです。伊丹十三監督の「大病人」もいいですね。医学部の入試の小論文や医師国家試験は僕の本から出題されています。病院の終末期医療を患者中心に変えることができるのは市民の力だけです。多くの方が2本の映画を観て、ご評価頂けたら医療は必ず良くなるはずです。
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だいたい、台本の3割程度しか話ができないのがラジオやテレビだ。
いつかまた(以前やってたけど)、自分の番組を持ちたいと思った。
PS)
コロナチャンネル #312
高齢者から?若者から?ワクチンを打つ順番、僕の持論 →こちら
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この記事へのコメント
「痛くない死に方」今時あれだけムダな台詞・演出が一切ない映画は珍しいのではないか?と思いました。
今回の映画公開を契機に、平穏死・尊厳死の概念理解が日本国民に浸透することを期待してやみません。
本日あるTV番組でイベルメクチンが話題になってました。先生が1年前からこのブログで繰り返し発信していた薬です。
日本人が発見、日本のB製薬会社が創薬した、正真正銘メイドインジャパンの薬です。ほぼ副作用がなく1回使用です。
今やコロナ被害の著しい世界中の国の多くの患者に対して使われ、劇的な効果を上げて称賛されているようです。
にもかかわらず、日本では1年たっても承認どころか臨床治験すらされないようです。理由はB製薬会社を何年も前に買収したM製薬会社が「治療効果に科学的根拠がない」と言い張り、厚労省もそれに準じているからだそうです。
現実的にはこの薬があまりにも日本で繁用されてしまうと重症者が激減してしまうので「日本にはワクチンなんかいらないんじゃないか」と認識されてしまうのではいでしょうか?それこそインフルエンザ同等扱いになり、町医者主導でイベルメクチンとデキサメサゾンを初期治療すれば、重症者で病院病床が逼迫や行動制限・経済活動の停止もなくなるはずです。
米国の製薬会社2~3社が創薬したワクチンが日本で売れなくなってしまうと困るから?おかしな話です。
戦後、どこまでも米国に忖度し続ける日本らしいエピソードに怒りとバカバカしさ、失笑を禁じ得ないです。
自国国民の生命・医療現場を救う事よりも、米国への忖度を最優先するこの国はいったい何なのでしょうか?
非常事態にもかかわらず医療を軽視して五輪の強行に血道を上げている今の姿は太平洋戦争末期の政府とダブります。
Posted by マッドネス at 2021年02月25日 11:17 | 返信
今朝の読売テレビ欄に映画の広告が載っていました。
そのあと日経を開いたら特集に宇崎さんの記事が載っていて、映画について触れていました。
宇崎さんと言えば「スモーキン・ブギ」。映画で美味しそうに煙草を吸っているのを見て、その歌が頭の中で鳴り響きました。
ところで私が勉強した占いによると、長尾先生にとっての今年のキーマンは「丑、寅、卯」年生まれで、高橋監督が「丑」、奥田さん、柄本さん、大谷さんが「寅」です。
先生から見て「寅」は、強運が約束される最高の相性です。
また、「戌」の宇崎さん、坂井さんとも新気運を呼び込む相性。
占いから見て抜群の環境で作られた映画でした。
Posted by 主婦 at 2021年02月26日 09:46 | 返信
先生、お久しぶりです。
今日から先生のドキュメンタリー映画の上映が始まりますね!!!
すばらしい2本の映画をたくさんの人に知ってもらいたく
微力ですが、ご紹介させていただきました。
よろしくお願いいたします
note記事「リビングウィルの尊重」
https://note.com/eternal_place/n/nd91c78a9dfeb
Posted by KK at 2021年02月26日 12:20 | 返信
先生、毎日患者さんのために身を粉にしてご自分の人生を捧げて医療に尽くしてくださり、ありがとうございます。また超ご多忙な毎日でこのようにブログやYou tubeで素人には分からない情報を発信していただき誠にありがとうございます。先生のご尽力は少しずつですが、私のような医療に無知な一般人の間に広がりつつあります。心より感謝しています。映画も二本とも見に行きますからね。どうぞご自愛ください。
Posted by 今井 at 2021年02月26日 01:37 | 返信
r伊集院光とらじおとのリスナーで、ラジオネーム池田龜太郎といいます。
伊集院光とらじおと聞いていました。良かったです。話も分かりやすく大変ためになりました。映画は銀座で観られるようなので、都合をつけて行ってこようと思います。近所のシネコンでやっていないと、どうも腰が重くなりがちです。それから全く関係ないのですが、一度だけ長尾先生を
観たことがあります。お会いしたといいたい所ですが、そこまでではないですね。2019年3月2日勝谷誠彦を偲ぶ血気酒会in大阪に参加していたんです。尼崎がどういう街かを話されていたのを覚えています。
まとまりがない投稿をしてしまいましたが、ラジオでの話が凄く良かったという感想です。
Posted by 龜太郎 at 2021年02月27日 01:50 | 返信
いつも、ありがとうございます
在宅お看取りのハードルは高いなぁと思っちゃった事例です。
昨夜のことです。
80歳代心不全のご主人と認知症の奥様のお二人暮らしです。
最期はおうちで…と遠くの息子さんともお話を何度も繰り返し、ケアマネさんはじめ、サービス事業所さん達とは確認できていました。
もちろん、24時間対応の在宅専門医の先生に来ていただいていました。
先週の金曜日から、呼吸苦があり、先生を呼び、酸素投与、利尿をかけて、治療が開始され、改善されてきたました。ご本人がトイレに行きたかったんでしょうね。歩いて、トイレに行き、倒れているところ、認知症の奥様が発見して、お隣さんの家に駆け込み、救急車を呼ばれて、搬送先で息を引き取られました。
その後も認知症の奥様から頻回に電話がかかってきます。
穏やかではなかったなぁと残念に思ってしまいます。
まさか、ご近所さんが救急車を呼ぶというパターンがあったかと、、、、
ご近所さんにも伝えなくてはいかんかったのか?→個人情報、難しいですね。
何が正しくて、正しくないかは、わかりませんが、
自分の人生、最後だからこそ、好きに生きさせてくれ〜と思っちゃいました。
Posted by 宮ちゃん at 2021年06月22日 11:19 | 返信
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