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映画が議論のきっかけになれば
2021年03月05日(金)
医師の情報サイトである「m3」に
僕のインタビュー記事が載っている。
映画が議論の契機になれば嬉しいな。
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尼崎の町医者が映画に「議論のきっかけになれば」 →こちら
長尾和宏・長尾クリニック院長に聞く
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◆Vol.1 普段数分の診察でも患者の信頼を得る「メリハリ」
インタビュー 2021年3月2日 (火)配信岩崎雅子(m3.com編集部)
若き在宅医の苦悩と成長、看取りの現場を描いた映画『痛くない死に方』が2月20日、公開となった。原作は長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長の長尾和宏氏の著書『痛くない死に方』と『痛い在宅医』(ともにブックマン社)で、長尾氏自身の日常を追ったドキュメンタリー『けったいな町医者』も同時公開。「2本の問題作が終末期議論のきっかけになればうれしい」と話す長尾氏が投げかけたいもの、そして「患者と向き合う時に心掛けていること」を伺った(2021年2月21、22日にインタビュー、全2回の連載)。
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インタビューに答える長尾和宏氏 ──
『けったいな町医者』では長尾先生の往診の姿を追っていますが、率直に看取りの現場において、「何が正解か分からない」と感じました。
そう、分からないでしょうね。在宅看取りを美談に描くマスコミの手法には市民も医療者ももう飽きたのではないでしょうか。幸い毛利安孝監督は在宅医療をシニカルに描いてくれました。「けったいな」とは、関西弁で良くは無いけども「変わっている」。でもどこか救いがあるニュアンスの形容詞です。自分でも「けったい」であることを自覚しています。映画の通り、僕は下手な日本語をしゃべって、毎日が失敗の連続です。市民の方からは「良い映画ですね」と言われるかもしれませんが、プロが見たら突っ込みどころ満載の映画でしょう。「とんでもない奴だ」と叱られるかも。でも願わくは、この映画を肴に多くの医療者が真剣に議論してほしいです。
──両方の映画に「大病院への不信感」というキーワードを感じます。
終末期の患者に最期の最期まで抗がん剤治療を打ちに来させるとか2リットルの高カロリー輸液を続ける医療には強い疑問を持っています。まあかつては僕も全く同じことをやっていたんですけどね...。
1984年大学卒業後、大阪大学第二内科に入局し11年間、勤務医として過ごしました。救急病院で2年、大阪大学病院で5年、市民病院で4年働き、1995年阪神大震災の直後、尼崎市で開業。研修医時代、自分と同じ年の26歳の白血病の終末期患者に、あらゆる延命治療を施し死ぬ瞬間まで抗がん剤を打っていました。
最期は彼の上に馬乗りになって泣きながら心臓マッサージをして──。劇映画にはそんな数秒間のシーンがありますが、撮影には丸1日かかりました。 がん治療にもやめ時があると、当時誰も教えてくれなかった。死は敗北だと皆信じていたからね。今も、かな。この映画を大病院の先生方が見たらどう思うのでしょうか。当然、反発されるでしょうね。正直、怖いです。でも在宅現場を少しでも知って欲しいという想いが勝ります。
──先生はどうして大学病院から在宅に移られたのですか。
もともと医学の道を志した時から「将来、町医者になりたい」と明確にイメージしていました。プライマリケアの生みの親である日野原重明先生に憧れて彼の著書を読み漁り、医学部5年生の時に「総合診療とは」というシンポジウムを企画したほどです。しかしいきなり町医者になれないので、11年間病院で修業した。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、幼少時に住んでいた兵庫県尼崎市で開業。当時は病院からの往診制度はなく、仮設住宅に往診をしたくて市民病院を飛び出しました。
昔の研修医には労働時間という概念がなくて、最初の数年間はまさに奴隷生活でした。研修医時代の2年間は病院にずっと泊まり込み、救急対応や手術や麻酔の合間に外来診療や病棟対応まですべてやった。大学病院に入りきれない末期がん患者が毎日のように搬送されほとんど受け持ちました。死亡診断書も沢山書きました。だから病院から外出した日は年間に数えるほど。でも、たくさんの修羅場を経験するうちに、臨床能力が自然に身に付きました。医師になって2年目には全身管理や外科処置も一人でできていた。今の研修医はどこかお客さん扱いなので、さまざまな医療技術を習得するまですごく時間がかかる。正直、可哀そうだなと思います。
──映画『痛くない死に方』では、柄本佑さん演じる河田という若い在宅医は緩和ケアや人間力が未熟で、末期がんの患者さんにもがき苦しむ壮絶な最期を迎えさせてしまいます。
一定の臨床経験、具体的には救急や麻酔や外科など直接生死に関わる経験がある医師でないと在宅緩和ケアは難しいのではと思います。蘇生処置もできず、治せる病気を治すことができないような医師に果たして緩和ケアができるのか。誰でも在宅医、という安易な風潮に疑問を感じます。患者の訴えに耳を傾け身体を触り対話を繰り返し、医学的評価とともに治療の可能性を忘れてはいけません。
──映画の原作となった著書『痛い在宅医』の中に河田医師が出てきますが、先生は「言葉が足りない」ことを問題視されていますね。
医師は「言葉」というすごい武器を持っているんです。昔から「ムンテラ」というように、言葉一つで患者を元気にすることができる。けれどその武器を上手く使えていない医師が増えている気がする。伝えるべきバッドニュースが患者や家族に誤解されたり、上手く伝わっていない時がある。医者の言葉は時には凶器にもなります。
余命1カ月の末期がんの患者さんに「貴方の余命は1カ月です」と言うのと、「たいへん厳しいけども奇跡が起きる可能性はゼロではない。一日一日を大切に笑って生きよう」と言うのでは、患者の受け止め方がかなり違うのではないでしょうか。医療とは、言葉を尽くして紡ぐもの。できるだけ優しい口調で患者さんの心にズシンと前向きに刺さるような言葉を投げかけるべき時が必ずある。普段からそんな言葉のトレーニングをやってみてはどうだろうかと思います。
『痛くない死に方』の舞台挨拶で話す長尾氏(左)と高橋伴明監督
(2月21日、東京・シネスイッチ銀座)。
高橋監督は『痛い在宅医』と『痛くない死に方』をを基に約1週間で脚本原案を書き上げたという。
──大学でコミュニケーションスキルの講義がある所はまれですね。
どこで学んでいけば良いのでしょうか。
模擬患者を使うといいですね。川崎医科大などで行われていると聞きましたが、本物の患者さんにボランティアで患者さん役をやってもらう。昔、肺がんが脳や全身の骨に転移をしたステージ4の女性がいて、模擬患者になり研修医を訓練していました。患者さんが研修医に「私の余命は?」と質問して、もし下手な説明だったら「そんな説明じゃダメダメ!」と厳しく指導して、時には泣かせるほどでした。 院内でのロールプレイングもいいですね。僕が超わがままな末期がん患者役になって、在宅スタッフたちを思い切り困らせる。でも初心者は咄嗟に言葉という武器が使えないんですね。
医療は対人関係が土台になるので、言葉は多く持っているに越したことはない。特に在宅医療は非常に患者との距離が近いですから。でも多くの医師は距離が近いことに慣れていなくて、患者の言葉を受け止められない。重たいし、どう返せばいいのか全く分からない。ネガティブな言葉を受け止めたくないという若い医師もいる。だからこそトレーニングを重ねて、コミュニケーションのスキルアップをしないとね。コミュニケーション能力は立派な資質です。でも「はい、やって」でできるものではない。
──言葉を重ねるということですが、映画でも一人の患者にかなり時間を取っているように見えます。
お看取り前なら最低でも30分はかけるとか。
いや、僕の診察時間は短くて、病状が落ち着いていれば外来でも在宅も3分診療なんかざらにあります。その代わり、時間を取るべき時には1時間、時には2時間取ることも。混んでいる時は混んでいるなりに、暇だったら暇なりに、要はメリハリです。 在宅で看取りが近くなれば大事な話は夜や日曜にすることが多いです。できるだけ多くの家族に集まってもらい、じっくり時間をかけられるからです。末期がんの方をほぼ100%看取るコツを聞かれたら、初めにその人の人生の物語にしっかり食い込んだ話をすることでしょうか。だから初回訪問が非常に大事で、1時間くらいはかけます。そして看取り期に入ったら、ご家族ともう1時間。その2回がしっかりできたらあとは5分で構いません。残りは訪問看護師が上手にやってくれていますが。
じっくりした対話を1回やれば、だいたい信頼してくれる。その1回をやるかどうかの差は大きいです。逆に言えば、そんな時間を取れていないと、看取りに至らない時もあります。 滞在時間にメリハリを付ける裁量を持っているのが医師です。診療効率は大切ですが肝心のメリハリが無ければ、患者さんやご家族の満足度は上がりません。
長尾和宏(ながお・かずひろ)氏 1984年、東京医科大学卒、大阪大学第二内科入局。聖徒病院、大阪大学第二内科、市立芦屋病院内科勤務を経て、1995年尼崎市に長尾クリニックを開業。1999年から医療法人社団裕和会理事長。『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など著書多数。
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第二回目は来週あたりにアップされるのだろう。
210304 おはようパーソナリテイ道場洋三です(25分) →こちら
【舞台挨拶の新着情報】
・塚口 3月13日(土)と14日(日)
『痛くない死に方』10:00の回上映終了後
『けったいな町医者』12:35の回上映前
・岡山 3月13日(土)
13:35からの上映終了後 <舞台挨拶>15:31~15:46(15分間)
PS)
コロナチャンネル #320
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この記事へのコメント
季節性インフルエンザワクチンは100%接種されていないですよね。
40%だったか接種されれば、季節性インフルエンザは、流行しないのではないですか?
今年は、コロナ肺炎と同時感染すると脅かされて季節性インフルエンザのワクチンが、かなり接種率が高かったと聞きます。だから季節性インフルエンザは流行したとは聞いたことがない。
コロナ肺炎も、ワクチンがある程度接種されれば、流行は低くなると思いますけど。
コロナ肺炎もイベルメクチンとステロイドで治りやすいから、季節性インフルエンザと同じようなものなのではないかと思います。
科学知識がないとパニックになりやすいのでしょうか。
Posted by にゃんにゃん at 2021年03月05日 04:27 | 返信
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