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防災とは逃げること、感染防御も逃げること

2021年03月11日(木)

3.11から10年目となり、TVで特集が組まれる。

津波の映像を観ると胸が痛むし、死者を悼む。

でも復興はまだまだという声も聞こえてくる。

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僕の人生において1995年の阪神淡路大震災は大きかった。

その次に、2011年の東日本大震災の衝撃が記憶に残る。


3.11の午後2時46分、僕は医師会の地区会の後、雑談していた。

「地震だ!」と叫んだら、耳鼻科の先生が「めまいやろ」と言った。


でも、地震だった。

訪問診療の先々で迫りくる津波の映像をリアルタイムで観ていた。


当然、みんな逃げた! と思っていた・・・



4月末、花巻空港に救援物資を送りクリニックの港谷さんと

岩手県花巻空港に降り立ち、レンタカーで被災三県を回った。


釜石、大槌、陸前高田、大船渡、気仙沼、石巻、名取、相馬・・・

行ったことが無い町々でいろんなことがあった。ありすぎた。


国や市民はなにをすればいいのか、見えた。例えば二重ローンの解消。

阪神大震災の被災者としての「提言書」を7月11日に出版した。→こちら


僕に同行した映画監督ら3人が、ドキュメンタリー映画にした。→こちら

僕の姿と僕の声を全部消して、被災者の声と映像だけを集めた。


その後、毎年、被災地の訪問と交流を続けてきたがコロナで疎遠に。

最近、石巻の長純一先生から連絡があり、復興の現状を再認識した。


今、気仙沼の面瀬中学校の校庭の仮設に詰めていた黒田裕子さんの顔が浮かぶ。

「長尾先生、今すぐ気仙沼に来て!」という電話がきたのは、2012年1月1日朝。


実は、後にベストセラーになった「平穏死10の条件」は

この黒田裕子さんからの電話のシーンから始まる、ことに。


実は1分遅れで、仙台行きの飛行機に乗り遅れてしまった。

でもそのお陰で、元旦のお看取りに行くことができたお話。


今、顔に浮かぶのは、気仙沼の大島にたった一人の訪問看護師のお顔。

仮設住宅や市営住宅で、うつやアルコール依存症になった人達のお顔。


決して忘れてはいない。 東北の話が出る度に思い出す。

でも、年々、その想いが年々薄れているような気もする。


ここいらで気合い入れてなんかせんとね。

でも、コロナあるし、ワシは大阪やしね。


というわけで、僕の防災の結論は10年間、ずっと変わらない。

「防災とは逃げること」のひとこと、に尽きる。


天災に逢った時、咄嗟に考えるべき「どこにどうやって逃げるか」

と、もしも余裕があれば、「誰をおぶって逃げるのか」だと思う。


ついでに言うならば、

「感染防御も逃げること」


ヤバそうな場所を避ける。

気が付いたらすぐ逃げる。


私生活の話ではない。

町医者としての自戒。


意外だとか、あり得ない、といった声が聞こえてきそう。

でも僕は臆病で慎重なので、未知のウイルス感染は恐い。


みなさん、「逃げる」ことだけは覚えておいてください。

いい格好しようという見栄は捨てて、とっとと逃げる事。


僕は、過去に大きな暴行事件に巻き込まれた。

しかしその時も「とにかく、ひたすら逃げた」


それで僕は、今、生きている。

その人はその後、亡くなった。


とにかく、逃げることは恥ずかしいことではない。

「逃げる力」が生き延びる術だと思っている。


被災三県を忘れません。

福島を応援しています。


クリニックの横に2ケ月間疎開していた新妻さん一家を忘れない。

いわき市の小名浜海岸の自宅を流されたけど、立ち直って欲しい。


3.11の今日、東北にエールを送ります。

まだまだ時間はかかるけど、まだまだご縁が続きます。



PS)

コロナチャンネル #326


2週間に一度ずつ変異を繰り返すウィルスにどう対抗していくか? →こちら



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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

知人とメールをやり取りしたしたら「私もアメリカから娘が返ってくるから忙しいんだ」と仰る。「へえ、娘さんがアメリカから帰ってくるんだったら(あちこち遊びにつれていかなきゃいけないから)大変ですね」というと「誰がアメリカから帰ってくるといった!?フランスからだ。フランスから帰ってくるんだ!」と変に神経質なお答えでした。
娘さんは暑い8月に帰ってこなくても良いのに、お里帰りするし、親が親でフランスから帰ってくるなんて修正したり、でも当分はご近所付き合いは、控えようなんて意地悪く考える自分もおかしいなあと思いました。
季節性インフルエンザは一年間は変異ウイルスは出なかったと思います。翌年はまた変異したウイルスのワクチンを打ちますけど。一年間でなんども変異するウイルスって特別なのでしょうか?
ボランティア活動をするにもワクチンを打たなければいけないのでボランティアはできないなあと思います。
日本人女性にはワクチンは向かないのでしょう。子宮頸ガンワクチンも日本人の若い女性には向かないのでしょう。
逆にイペリットは東洋人女性のたばこを吸わない女性にはメリットがあるとのことでした。
人種によって違うのですね。

Posted by にゃんにゃん at 2021年03月11日 09:59 | 返信

コロナ禍における防災とは何か? 
それは高齢者など重症化リスクの高い集団を重症化させないことと重症化を増やして救急医療現場を逼迫させないこと。
そのためにするべき事は明確で、高齢者の集まる場所、デイケア・小規模多機能・老健などの施設、病院などにおいて、スタッフと利用者に徹底的に定期検査を実施する、コロナ陽性者とコロナ疑い者は必ず決まった医者が責任をもって早期治療を開始した上で経過をフォローする。コロナ専門医療機関をテントでもどこでもいいので即席で作る。
第3波ではそれはまったくできていませんでした。
コロナは数年に及ぶ長期間にわたる災害(人類にとって)です。つまりこの国は防災がまったくできていないのです。
コロナ医療の安全保障がほぼ皆無に等しい状況で、安心して経済が回せますか?まして五輪などやれますか?
4~7月にかけて変異種の第4波は必至です。南半球(ブラジル・南アフリカ)で起こった事は必ず北半球でも起こる。

Posted by マッドネス at 2021年03月11日 11:01 | 返信

罪深い東京オリンピック~福島の原発は東京の電力の為のものだったのに、事故後あの原発がなくても東京はなにも困らず、東京オリンピックの誘致にやっきになって、おもてなし~とはしゃぐ姿が信じられなくて、とてもショックでした。あとで取ってつけたように復興オリンピックと言いだしたけれど。オリンピックの為の建築工事によって、復興はかなり痛手を負いました。そして今や復興オリンピックからコロナに打ち勝った証のオリンピックに変わっています。10年前に地震、津波で原発が爆発して放射能汚染、今度はオリンピックで変異株が爆発してコロナ汚染なんてことになりかねません。10年前の教訓を今こそ活かしてほしいです。

Posted by 遠い声 at 2021年03月14日 12:44 | 返信

ミヒャエル・エンデのEndless Story「果てしなき物語」も、災害やいじめに会えば、逃げようというテーマです。
ヒットラーに苛まれたドイツ人らしい考えだと思います。ユダヤ人もいち早くアメリカに、逃げた人たちは、何とか生きていけました。
でもロシア革命で生きてゆけなくなった或る女性詩人は、フランスに逃げたが、ソビエト共産党スターリンが「帰ってこい」と誘うし、フランス国家が冷たかったし、亡命ロシア人間の差別に耐えられなくなって、ソビエトに帰国して自殺した女性詩人もいるそうです。図書館で読んだのでお名前は忘れました。
逃げられる人は逃げて、逃げられない人も努力するしかない。
貞観地震の戒めの碑文に書かれているように「皆、てんでんこ」みんなそれぞれに、逃げろということらしい。
前進して戦うのも立派だけど、力が無いときは撤退するのも孫氏の兵法だと記憶しています。
明治維新でも土方歳三は戦士しているけれど、黒田清隆とか、明治政府の高官になっている人もおおいですね。
太平洋戦争でも、多くの人が亡くなっていますけど、昭和天皇は自らマッカーサーに許しを請いに出頭したのですから、「天皇陛下の為に」自決することはないと思います。

Posted by にゃんにゃん at 2021年03月14日 02:46 | 返信

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