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特養・老健のコロナ陽性者をどう診ていくのか

2021年04月08日(木)

第四波で医療逼迫が起きているというけど

現場感覚ではもう「医療崩壊」しています。

そんな中、特養・老健にどう対応するのか。

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日本医事新報2021年4月17日号  

特養・老健のコロナ陽性者をどう診ていくのか 長尾和宏



特養・老健が空白地帯に


本稿を書いている4月5日、筆者の診療所がある尼崎市はまん延防止等重点措置の地域に指定された。4月4日日曜日の発熱外来に、39.2度の発熱だけを訴える30歳代の人が受診。果たしてコロナの抗原検査は陽性であった。第四波においては若者世代にも感染が蔓延していることを肌で感じる。今後、若者から高齢者への家庭内感染や施設内感染の増加が予想される。


さてこの1年間、全国の特養や老健におけるクラスター発生がマスコミを賑わせてきた。そのため1年以上の長期間、面会謝絶と外出禁止が続いている施設もある。その結果、入所者のフレイルや認知症がさらに深刻である。一方、現在、フランスで行われている3回目のロックダウンは「閉じ込めないロックダウン」だという。日中は自宅から10km以内であれば、何時間でも散歩や運動ができる。筆者は1年前に「歩くだけでウイルス感染に勝てる!」(山と渓谷社)という5冊目となる歩行本を書いた。「ステイホーム」ではなく「ステイホームタウン」であるはずだと。


当初はバカにされたが、1年経った今、地球の裏側では立派な国策になっている。日本もそろそろ「過度な自粛による弊害」に目を向けるべきではないだろうか。ステイホームすればするほど自然免疫は低下する。 そもそもコロナに感染して死亡率が高い世代は圧倒的に高齢者である。特に高齢者施設において陽性者が発生した時、どう対応すべきなのか。指定感染症なので全例入院なのか、施設に療養してもいいのか。認知症で入院できない要介護高齢者はどうすればいいのか、保健所の指示待ちだろうか。それとも特養には嘱託医が老健には管理医師が配置されているので彼らが采配するべきか。1年経っても明確な指針はない。コロナ対策において特養・老健における陽性者への具体的対応は空白地帯である。本来、コロナ医療はそこに焦点を当てるべきなのだろうが、国はそこに手をつけないまま第四波に突入してしまった。



介護施設と地区医師会の連携  


尼崎市医師会では昨年末、在宅医療担当理事が中心となり医師会会員全員に市内の特養への応援部隊を募集した。その結果、30人弱の開業医が手を挙げたという。そして実際、ある特養でクラスターが発生し、保健所の保健師と在宅医が協力して特養内で診断と治療を行った。在宅酸素も導入したが残念ながらお看取りになった例があったという。  


そもそも特養において末期がんの患者さんには外部の在宅医の応援診療が認められている。それと同様にコロナ感染においてももしも嘱託医が求めたなら外部の医療スタッフの応援に入ることが認められるそうだ。諸事情で感染症病棟に入院できない入所者が施設内に留まった時、必要があれば在宅酸素機器を導入したりイベルメクチンなどで治療を行った時、堂々と保険請求できるという。


特に通知は出されていないが医師である梅村聡参議院議員が厚労省に問い合わせたところその旨の回答があったそうだ。  特養の経営主体は社会福祉法人だけである。特養や老健は医療需要がほとんど無いとされる要介護者が入所しているが、今回のような指定感染症への対応には当然ながら医療が必要であろう。


一方、この2~3年、特養や老健入所者におきた誤嚥性肺炎による死亡の責任を問う裁判が相次いでいる。筆者の知る限り、すべて施設側が負けて二千万円前後の損害賠償が命じられている。誤嚥性肺炎に限らず、コロナ感染においても入院させることができないケースもあるだろう。そんな時には外部の医療スタッフが臨機応変に施設内で医療を提供できる体制を整えておくべきではないか。しかし介護施設や医療資源の分布には著しい地域差がある。地区地域医師会が主導して、手上げをした医療スタッフが助っ人となって施設に入れるよう、今日から体制を整備しておくべきだ。5月以降のワクチン接種においても同様に外部からスタッフが入ることもあるだろう。コロナ禍が介護施設と地区医師会の連携を深める好機となってほしい。    



命の選別、ではない  


ところで病院や施設において、たとえば100歳の人の誤嚥性肺炎が改善しない時、人工呼吸器を装着しないことがほとんどだろう。誰もこれを「命の選別」と呼ばない。しかし100歳のコロナ感染者に人工呼吸器を付けずに看取ったらどうだろうか。あるいはリビングウイルを書いている80歳代の人が呼吸器を拒否したらどう対応すべきか。本人の意思を尊重して尊厳死したらどうなるのか。「命の選別はけしからん」と煽るマスコミがあるだろうが、果たしてそうなのか。


「命の選別」とは医師が独断で実行された時に使うべき言葉であり、本人意思を尊重し人生会議を経た結果をそう呼ぶことには違和感を覚える。2020年夏にWeb開催された第4回日本在宅救急医学会学術総会において、「コロナに人生会議という概念を持ち出すのはおかしい」という意見が出た。「コロナはまだ未知の病気だから」という理由であった。たしかに回復の可能性が少しでもある限り全例に装着すべきだ、という意見はあるだろう。しかし呼吸器が足りなくなればどう判断するのか。もしも年齢でトリアージすると「エイジズム」と批難され、また本人の意思を尊重すれば「命の選別」と糾弾される国である。 そもそもなぜコロナだけが特別な病気扱いなのか、という疑問が消えない。また「未知の感染症だからこそリビングウイルを核とした人生会議をすべき」はなぜいけないのだろうか。


筆者はコロナ感染も人生会議の対象になり得る、と考える。むしろ「命の選別」というレッテルを貼ることで思考停止するほうがずっと怖い。



第四波こそ地域包括ケアで  


本誌2020年3月21日号の第107回連載において筆者は「新型コロナ感染症対策は地域包括ケアのフェーズに」と書いた。正直、1年早かったかもしれない。いや、現在でも国にはそんな視点が無いようだ。しかし冷静に考えて頂きたい。高齢者施設はコロナ対応に怯えている。そんななか、本人や家族の希望で入院せず在宅スタッフや介護スタッフが自宅や施設で療養するケースが増えてきた。つまり確実に「地域包括ケアシステム」のフェーズに移りつつあるのだ。


事実、第三波で医療崩壊した今年1月は、入院もホテル療養もできない多くの自宅待機者ないし自宅放置者を地域包括ケアで対応した。今後、地域包括ケアとしてのコロナ対応策を練りこむべきだ。 かかりつけ医は医療崩壊の防波堤になり得ると考える。陽性者の受け皿は感染症病棟だけではなく在宅や施設などの地域であろう。そう発想の転換をしないとコロナ禍は乗り越えられない。


つまりパンデミックにおいては大量に発生する感染者を「かかりつけ医が早期診断と初期治療」(第108回)をして「介護崩壊を防ぎ」(第110回)、「医療機関は機能分化すべき」(第109回)ではないだろうか。興味のある先生には、過去1年の本連載を読み返して頂ければ幸いです。(QRコード→こちら


実は今回の連載が第120回目(10年)と大きな節目となります。100年という歴史と権威ある本誌に10年間も好き勝手なことを書かせて頂いた日本医事新報社の皆様と毎回読んで頂いている先生方に深く感謝申し上げます。今後も「尼崎発」でズバズバと書かせて頂く所存ですので宜しくお願いいたします。忌憚ないご意見もお寄せ下さい。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


毎日が「戦場」である。

東京もすぐにマンボウになるだろう。


しかし1年前と全く変わっていない。

「またか!」という喪失感しかない。


お隣の市の保健所はもはや機能していない。

苦しんでいる陽性者を完全に見捨てている。


でも悪いのは保健所ではなく、保健所はむしろ犠牲者だ。

感染爆発への能力がない保健所に丸投げしている国が悪い。


もはや、何を書いても、テレビで何を言っても、まったく無意味。

政策に活かされないということは「無駄な抵抗」、ということだ。


医療従事者はもう限界ではないのか。

喪失感や無力感が渦巻いているはず。



PS)

コロナチャンネルが強制閉鎖されて12日目。

いまだに再開のめどは立っておらず、残念。


1週間の停止命令であったが、まだ連絡がない。

今こそ、発信したいことが沢山あるのにねえ。


現場の声がまったく政府やマスコミに届いていない。

今からでもできることが沢山ある、と思うのだけど。



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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

尼崎で発熱外来をして下さりありがとうございます。
現状はなかなか対応してもらえず1か所放置が1番つらい。先生やスタッフのみなさんがどれほどしんどいか少しは想像がつきます。
本当にありがとうございます。
今日は神戸に「けったいな町医者」を観に行く予定でしたが泣く泣くやめました。観たかったです。そのかわり母を近所の散歩につれだします。

Posted by Taiyo at 2021年04月08日 07:26 | 返信

YouTube側に対する異議申し立ては行ったのでしょうか?

異議申し立てをしない限り、勝手に停止措置が復活する事は無いようです。

Posted by 匿名 at 2021年04月08日 12:30 | 返信

歴史で勉強した戦争や差別の数々。昔話だた思っていたけれどこういう雰囲気だったのかなあと感じる今日この頃。

Posted by 匿名 at 2021年04月08日 12:50 | 返信

先生・・爽やかな新緑の公園をウオーキングに行ってまいりました。子どや大人も少なくなりました、桜も散り学校が始まったからです・やれやれです。
YouTubeは先生の顔がアップで観れて解りやすく説明してくれるので・・素人の私にも解ります・それを又家族友人にも進めたりしてました。、私は活字も好きですから平気です、活字を目で追いながら頭の中で音読をします。
笑えるのはブログの方ですね・・

いっぺん異議申し立てしてみてください・・ね
命の差別・・もう先の短い人や・・刑にふしてる人や・・どなたか偉いさんがテレビで言ってた生活支援を頂いてる人は後回しだと・・それを聞いてて涙が出ました。弁護士の友人もそれは酷いわ・・て。

Posted by 長尾先生大好き at 2021年04月08日 04:33 | 返信

今回の第4波、英国変異株が7~8割でメイン。これまで通用していた日本人の免疫が通用しなくなっている感じがします。
つまり、今回は日本でも欧米と同等の感染者数・重症者数になりうる可能性が高いと推定されます。
未成年の感染者割合が増え、基礎疾患のない中高年の重症化が散見され、発症してすぐに急速に重症化、低酸素化する。
町医者が防波堤にならなければ、第3波と同様のコロナ対応病院に丸投げ体制を続けていれば、あっという間に数少ないコロナ対応病床は逼迫してしまい、入院できずに亡くなる患者はが激増するでしょう。今度は中高年でも死者が増えるわけです。
ワクチンの効果もかなり落ちるようなので、医療関係者、病院・施設内でのスタッフ感染~離職による医療・介護崩壊も現実味
を帯びてくるはず。下手したら病院や施設のスタッフが続々と感染してほぼ全員いなくなってしまう可能性すらあります。
小さい病院や施設であれば、そのまま消滅してしまう可能性すらあります。
これまでとは桁違いに感染力が強く、誰でも重症化してしまうウイルスであると皆が覚悟するべきでしょう。

Posted by マッドネス at 2021年04月08日 10:04 | 返信

新しい名前でチャンネルを開き、アップすればいいです。
検索してひっかかるよう「(旧名)復活」とすれば、旧名で検索する人もたどり着けます。

Posted by 憂国人 at 2021年04月09日 04:24 | 返信

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