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開業医よ、今こそ立ち上がろう

2021年04月10日(土)

第二次世界大戦に喩えるなら末期状態、か。

医療に関しては無政府状態、であると思う。

開業医は、今こそ立ち上がる時だと思うが。

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医療タイムス2021年4月号   

大量に出るだろ自宅待機死にどう向き合うか



 4月8日現在、兵庫県尼崎市にある我が診療所は、「まん延防止重点措置(まんぼう)」のど真ん中にある。本稿では現時点での阪神間の状況を述べるが、近い将来、東京圏はじめ大都市圏で起きることであろう。  まず、第四波においてはあっと言う間に医療逼迫を一気に乗り越えて、事実上、医療崩壊した(過去形)。


冷静に考えて頂きたい。毎日、何百人もの新規感染者が発生するわけだが、感染症病床や重症病床は何十床とかの有限であり、特にICUベッドはあっという間に満床になる。その結果、神戸市では大量(300人以上)の自宅待機者が発生して、すでに「放置死」が出ている。阪神間の自宅待機者を巡回する訪問看護師が活躍している。  


大阪・神戸はすでに報道されているようにイギリス株が主流である。日々の新規感染者は何百人単位で、1割が重症化する。ステロイドが効きにくく、一気に人工呼吸器が必要になる。挿管されてからの経過も長く、隔離解除されても人工呼吸器が外せず、ICUのベッドを占拠し続けることになる。ある基幹病院の医師は、在宅で待機患者さんにHOT設置とデカドロン6㎎×5~7日を処方してくれる開業医をMLで求めている。今、どうやって自宅待機中の陽性者に酸素とステロイドを届けるのかが、目の前の課題となっている。  


筆者は、今年1月~2月の第三波において、NHKやTBSやMBSなどの報道番組に出演して「自宅待機者は開業医が診る」と訴えた。これまで200名以上のコロナ患者さんを診療してきたが、そこで得たさまざまな経験をテレビなどで発信した。果たして第四波においては、第三波よりも患者数の増加速度が激しく、保健所はほとんど機能できていない。


自宅放置死が発生するのは、そもそも何百人という患者さんのマネジメントを保健所という役所に担わせていることが原因である。つまり国の責任であるので至急、国会で自宅待機者の対応策を練るべきだ。また地域の特養や老健での陽性者への対応方法はいまだ明確ではなく、スタッフはクラスター発生に戦々恐々としている。一体、どうすればいいのか。  


本稿で述べたいことは極めて単純である。第四波の今こそ、開業医がコロナ診療に立ち上がる時である。コロナの早期診断と初期治療、自宅待機者へのオンライン診療やドライブスルー診療、そして重症化の早期発見と入院トリアージなど、協力できることが沢山ある。地区医師会と保健所が協力して手上げする開業医を募り現場に入っていくべきだ。訪問医療に慣れている在宅医が中心になってくるのだろう。地域包括ケアのリーダシップを担うことは当然だ。  


第四波は津波のようで、まさに災害である。非常時には建前や法律よりも人道的視点が優先することは当然だろう。ステロイドやイベルメクチンやフォイパンの投与に迷うことはない。必要な患者さんには投与し保険請求できる。コロナ肺炎による急性呼吸不全にはHOT導入をためらう必要はない。開業医ができることは今からでも沢山ある。開業医は医療費逼迫する病院や感染症病棟の防波堤になり得る。


 残念ながら、ワクチン接種と接種作業とコロナ対応が重なり、開業医には三重苦である。しかしここは動ける医師は積極的に動く時だろう。阪神間の現状は、1ケ月後の主要都市でも起きるものとして備えて欲しい。以上、一町医者の提言が活かされることを期待している。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


PS)

2月5日のTBS「報道特集」を今こそ、開業医に観てほしい。→こちら


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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

今週、大阪では医療非常事態宣言を市長が発表、報道される新規感染者数は減ることなく
かなり厳しい状態が続いています。
家族に年配者がいるため感染させないよう注意する毎日です。
在宅の看とりをしてもらえる開業医も近くになく、コロナになれば尚更に不安が募りますが
いち市民としては、毎日歩いて食べて免疫力を高め、かかっても重症化しないように
普段と変わらないことをするのみです。それがまわりにためにもなると思って。
現場で苦労されている医療、介護関係者の方にエールを送りたいです。
自分たちがいま何が出来るのかを、微力ながら考えさせられる毎日です。

Posted by うる吉 at 2021年04月10日 07:26 | 返信

メルマガ読みました。確かに新型コロナ患者さんを受け入れている大病院はものすごく大変だと思います。
しかし某国の悲壮感のなさと重ね合わせると、日本では高齢者に医療資源を注ぎすぎという気がしてなりません。
某国では後期高齢者がたまたま風邪症候群で亡くなるのは大問題ではないと考えているのでしょう。日本は大騒ぎ。

陽性者数を死亡者数で割ると「陽性者の何人に1人が亡くなる」かわかりますが、実は外国と日本ってほとんど
数字が同じです。いかにも医療資源が足りなさそうなブラジルでも日本の1.3倍くらいです。不思議ですね。

表向きの数字ですから実際は違う部分があるのかもしれませんが、そうすると陽性者数や死亡者数の数字に意味が
あまりないってことにもなります。

なお肺炎の死亡者数がかなり減り、新型コロナの死亡者数の数倍らしいです。明らかに自粛しすぎですね。

Posted by 広島の赤牛 at 2021年04月10日 08:26 | 返信

いつもブログ拝見させて頂いています。
コロナチャンネル、勉強させて頂いてたのでとても悲しいです(T_T)

「痛くない死に方」に続き、昨日「けったいな町医者」を見てきました。
結構な入りで先生のファンの方なのかなぁ~?。医療従事者なのかなぁ~?と思いながら、、、 
医療、看護の在り方、とても参考になりました。
医療とはその人を診る。
コミュニケーションやスキンシップの大切さ
患者さんも家族も安心ですね。

ますます長尾先生のファンになりました。
報道番組で長尾先生に会えた事、ラッキーでした。 

沢山の人に見てもらいたいです。
職場のみんなには宣伝しています(笑)
 

Posted by yuki at 2021年04月10日 09:08 | 返信

うちの場合、老健と特養の入所者の身元引受人であるご家族のほとんどが、無理な延命は望まない状況の中、入所者がコロナになった場合のアンケートを取って確認したところ、人工呼吸器やエクモは希望せず(そもそもの身体状況から適応になる方がいらっしゃるのかわかりませんが)施設で出来る対応で良いとのことでした。コロナは入院が原則であるため、保健所が施設で看てほしいという要請があった場合に限られますが、その場合の心の準備もできています。しかし、濃厚接触者である職員の全てが2週間の自宅待機を命じられたら、対応不可です。濃厚接触者となっても、自宅と施設の往復以外の外出禁止で出勤してコロナ患者を看ることができたら(地方ではほとんど自家用車での通勤なので出来ます)対応は可能かもしれません。もちろん、自前だけでは困難な状況となれば、他からのサポート、ご協力をお願いしながらでも、大変厳しい状況を闘っていくしかありません。しかし、(以前にも書きましたが)闘うにはなんといっても武器がほしいです。イベルメクチンは、医師が適用外処方できると言いながら、実際には出荷制限がかかっていて、手に入りません。また、自宅で過ごしている高齢者においも、人工呼吸器やエクモを望まない方は沢山いらっしゃるはずです。在宅酸素療法とデキサメサゾンの投与で、やれることだけやってもらえたらそれだけで十分、悔いなし、という方とその家族が大半なのではないでしょうか。日本医師会のトップの方々は、今こそ高齢者の方々の救いの神になっていただきたいです。長尾先生のYOU TUBE の再開を心待ちにしております。絶対にめげない長尾先生のお顔を見ると、同い年としては、先生の尻尾の端位にはしっかりつかまっていたいと思う次第です。(YOU TUBEを止めちゃった人も、ひょっとしたら長尾先生大好きなのに、トップから言われて泣く泣くやってしまったことかもしれませんね。)

Posted by 遠い声 at 2021年04月10日 03:20 | 返信

先生、いつに増して忙しいでしょうね・・
もう緊急事態宣言・・・・・でもそうなると学校やデパートなども‥・でもね公園は人が一杯・・街中にも人が一杯です。
今NHKで「新型コロナ全論文解誌」を観ていました。これはコロナの事
先生は現実、実際コロナにかかってしまった人々をどうするかと・・
悪いけどオリンピック・・は・・
ニューヨークで暮らしている知り合いは・・今一人で散歩に行けないとアジア人差別なんですよ旦那さんと一緒でないと怖いらしいです、旦那さんはフランス人です。
先生・・・声が聴きたいです・・尼崎にお電話しようかしらん☎声が聴きたいからそうして勇気づけて下さい・・怖いのです大阪の感染者数を見る度に。

Posted by 長尾先生大好き at 2021年04月10日 05:30 | 返信

せめて町医者に3月中にワクチン接種が行きわたっていれば、実現した可能性はあったのかもしれません
英国変異株を診るのはやはりこれまでとは感染~重症化リスクがぜんぜん違うようですので。
しかし糖尿病・循環器・消化器内科とかの看板で長年やってる町医者は沢山いるかかりつけ患者が発熱、コロナ感染しても診てくれないのでしょうか?糖尿病・循環器の通院患者は重症化リスクが特に高いグループのはずですが。
いますべての町医者にぜひやってほしいのは、発熱者の往診での診療、抗原・PCR検査、投薬ですね。
すぐに重症化するような病気であれば、受診させるという診療スタイル自体が間違っている気がします。
インフルエンザと同じ扱いにしないのは、いったい誰のためなのでしょうか?

Posted by マッドネス at 2021年04月11日 10:54 | 返信

長尾先生
毎日お疲れ様です。そしてありがとうございます。
マッドネスさんのつぶやき通り、「インフルエンザと同じ扱いにしないのは、いったい誰のためなんでしょうか?」と
私も思います。
「コロナ自粛の大罪」「本当はこわくない新型コロナウイルス」「新型コロナ7つの謎」を読むと
政府のやり方もマスコミの報道も何を信じていいのかわかりません。
医療制度がひっ迫すると1年前から言いながら、何も制度改善をしてこなかった政府は、
感染拡大したら、自粛しない国民が悪いと言わんばかりの対応で、
好きで病気になったわけではないのに、罹患したらまともに治療を受けられないなんて。
おかしすぎますよね。
知り合いにもずっとコロナチャンネルと長尾先生のブログを勧めてきましたが、
今はとても怖がってしまい、何も耳に入らないような人もいます。
力が抜けそうですが、感染症法2類指定のままにしている政府の罪は重いと感じます。

夜明けを信じて頑張ります。

Posted by sue at 2021年04月11日 10:15 | 返信

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