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認知症という視点が抜けている

2021年04月14日(水)

いまや、街中、「おひとり様の認知症」だらけ。

その人がコロナになったら、どうすればいい?

コロナ対策に認知症という視点が抜け落ちている。

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お一人暮らしの認知症の方(不定期に外来通院中)が

コロナ陽性の孫の濃厚接触者だと保健所から連絡あり。


少し離れて暮らす孫はコロナに感染し自宅療養中とのこと。

数日前に食事を作りに来られた時に濃厚接触した、そうだ。


果たしてその認知症の人に電話してみた。

しかし、出ない。(難聴なのか不在か不明)


買い物に出かけているのか

銭湯に行っているのか・・・


うちの職員が帰宅を確認したので訪問したけど、

かなりのモノに溢れていて、しんどそうな様子。


PPEした看護師が軒先で、舐めるタイプの唾液PCR検査を。

翌朝、果たして「陽性」との結果が届き、孫に連絡した。


その人は平時でも、入院させることもホテル療養も無理だろう。

自由に徘徊して買い物や外食や入浴を楽しむ方で近所でも有名。


陽性者同士である孫に電話したら40度の発熱があり介護は無理と。

保健所からの指示がないので、さあ、ここからは僕らの出番かな。


まずは僕が軒下(屋外)で、濃厚接触しないように説明をした。

しかしその方は、なかなかマスクをしてくれないし、すぐ外す。


ほとんど支離滅裂の会話の繰り返しであるが、「コロナ陽性」

と告げた途端、それは分かったのか腰を抜かしたので驚いた。


軒下でPPEして看護師がステロイド注射してイベルメクチン3錠を飲ませた。

デカドロン4mgX5日間を考えたが、服薬管理ができないので注射に変更。


普段のデイサービスに行くことはもちろん、停止である。

従来からのヘルパーのうち幸い一人が継続して入ってくれることに。


そんなヘルパーは、10人に1人しかいない、らしい。

家族感染があり得るので、「ひとり者」だけらしい。


次に、果たして近隣の方や民生委員さんにころな感染を伝えるべきか否か。

結構な難問だけど昼休みにスタッフ全員で人生会議して「伝える」に決定。


近隣の民生委員さんや普段見守りをしている協力者の家々を周って、

感染の事実、自宅療養計画、徘徊をどう収めるのか丁寧に説明した。


すると何人かは既に濃厚接触していることが判明した。

また、既に家庭内感染のリスクがあることも分かった。


そんな話を屋外でしていると、肝心の本人が目の前に現れた!

さっき「外出しない」指示に納得したのに3分後には忘れている。


しかもマスク無しで、大声で話して、一同は唖然。

徘徊する認知症の人を自宅待機で診ることは大変だ。


近隣のひとりがこんなことを言い出した。

「すぐに、キチ〇イ病院(精神病院)に入れてよ!

 うちの家族にCOPDが居るのでうつったら困るわ」


周囲は大騒ぎであるが、保健所から僕への連絡は来ない。

たぶん大忙しで長尾クリニックに任されたと受け止めた。


病院、ホテル、介護施設、すべて認知症陽性者は無理。

精神病院やグループホームなども絶対に無理、である。


結局、僕達が最後の砦。

なにが指定感染症や!


独居認知症の人なんか、世の中に沢山いる。

もちろん彼らもどんどん感染するのである。


しかし、診断は遅れがちだ。

診断しても行き先もないが。


結局、自宅療養しかないのであるが、

ヘルパー、看護師、在宅医が必要だ。


最悪、在宅看取りも視野に入れて、ステロイド、イベルメクチン、

酸素投与、点滴を自宅で行わないといけないが、誰がするのか?



でも、それが「地域包括ケア」なんでしょ?

認知症の人が最期まで家で暮らせる街づくり。


この国は、独居の認知所の人が感染したケースを想定していない。

コロナ対策に「認知症」という視点がスッポリ欠落しているのだ。



一方、朝から晩まで、現時点ではワクチン接種の問い合わせ対応に追われ、

密になった発熱外来への対応、ドライブスルー診療やオンライン診療等々。


コロナを、膨れ上がった外来診療と在宅診療の合間にやらないといけない。

それ以外に職員の健康管理、メンタル不調の相談にも乗りながらの総力戦。


ああ、早く、明けないかなあ。・・・・・



ここで明るいニュースを3つ。

1 新人医師がまた入職した。また看護師の応募もあった。

2 池江りか子さんの優勝に感動して涙。勇気をもらった。

3 松山英樹選手のマスターズ優勝にも泣いてしまった。



PS)


ドクター和の臨終図巻 第189回

作家 半藤一利さん

死因は穏やかな「老衰」      夕刊フジ 2021年1月23日 →こちら


 1月17日。阪神淡路大震災から26年が経ちました。当時市立芦屋病院に勤務していた私は被災者の治療に死に物狂いでした。下敷きから掘り起こされた負傷者が次々と運ばれて病院の廊下に溢れました。なす術もなく亡くなっていく人を前に絶句したあの日は、まさに地獄絵でした。 「まるで、戦場やな」  四半世紀以上経った今、今度はコロナ禍によってまたあの時と同じ言葉を呟く日が来るとは...。病院やホテルが満杯なので、自宅待機を余儀なくされた「無治療感染者」からの悲鳴に、てんてこ舞いです。出口が見えない分、26年前よりもやりきれなさを感じます。そして不意に、戦争の真実を書き続けたこの人の本を読み返したくなるのです。


『日本のいちばん長い日』などで知られる作家の半藤一利さんが1月12日に都内の自宅で亡くなりました。享年90。死因は、老衰との発表です。  半藤さんは数日前から歩行が困難になりましたが、死の直前まで妻の末利子さんとお喋りをしていたといいます。その後、部屋で倒れているのを発見。かかりつけ医が駆け付けて、死亡確認したとのこと。お見事な平穏死であり、痛くない死に方だったとお見受けします。  


何よりも、奥様が救急車ではなく、かかりつけ医を呼んだことが賢明な判断でした。もしも救急車を呼べば、救急隊員は「心肺停止を見たら蘇生」が義務なので、管だらけになり意識の戻らぬまま延命治療に至ったかもしれません。また、救急隊員が亡くなって時間が経過していると判断すれば警察に連絡し、現場検証と検視が入る可能性も。  


半藤さんの死因は「老衰」でしたが、同じ死に方であっても、医師によっては「急性心不全」と書く可能性もあります。死亡診断書に「老衰」と書いてはいけない、他の病名を書けと一昔前までは教育されていたのです。それが今や、「老衰」は日本人の死因第3位になったわけですから、立派な病名なのです。と同時になぜ今、戦時のような感覚に再び陥らねばならぬのか? 


このコロナ禍の騒乱に半藤さんは何を思ったことでしょう。 <ジャーナリズムに煽られて加速した国民世論の勢いに押されて、ジャーナリズムがさらに加速してしまう。戦争を煽る奴がいるじゃないですか。今でもたくさんいます>  半藤さんは、あるインタビューでこう語っていました。まさに今、コロナによってこの不穏な空気が再び国を包んでいるような気がします。今年が「日本のいちばん長い一年」にならないよう冷静を保たなければ。




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この記事へのコメント

先生、お疲れ様です。
嬉しいですね新人のお医者さんが来てくれて先生の考えに賛同してきてくれたのですね、看護師さんも先生のお声を聴いたのでしょね・・絶対に忙しいはずの長尾クリニックに来てくれてカッコいいですね。
毎日ニュースを見るのが怖いし泣きたくなります、
昨年娘や孫達の住む町に引っ越ししてきました・・数カ月会えなくてお菓子やおもちゃをゆうパックで何度送った事か・・抱きしめたいとそれこそおかしくなりそうでした・・7月のある朝方お布団の中で決めました孫達の近くに引っ越そうと・・断捨離にもなり・・又今は引っ越して良かったと・・思っています。

池江さんテレビの前で叫んでいました・・やはりオリンピックは開催してあげてほしいけど・・後が怖いけれど夏だから・・感染者は減っているかしらん。

Posted by 長尾先生大好き at 2021年04月14日 08:04 | 返信

長尾先生が倒れないのが不思議です。「家族にCOPDがいるから、感染が怖い」というのも、最もだなと思います。私の母が物忘れがあるといったとたん「なんで精神病院に入れないの?」と不動産屋の妻に言われました。しかし、40℃の熱があっても元気に出歩いたり大声で話す患者さんに家でじっとしていてと頼んでも無理です。認知症の独居老人に家族が同居してあげるわけにいかないのかなあ?私は両親と同居したので、話は簡単でした。でも両親とも亡くなって4年経つと「なんで結婚できなかったん?」と聞かれる。一人娘って結婚相手の両親に嫌われるんです。それが証拠に丸尾さんも独身だし、有岡さんも独身でしょう。南のアルジャーノ.フラミンゴとかいうライブハウスで長尾先生の独唱会があった時、同じテーブルに若い独身女性がいて、両親の介護をしていますと言っていました。ところが同じテーブルに夫君と一緒に来ていた主婦が芦屋に三姉妹で住んで両親の介護をしたと言う。その主婦が(若い女性と私が独身というのはおかしい)なんでやノン?と怖い顔で、詰問したので私も若い女性も困りました。三人も姉妹がいれば交代で介護ができるし、仲良く介護をしたのは偉いと思うけれど、一人娘は結婚は難しいのではと思います。恋愛結婚で強行突破してしまうか、娘の親が相当の資産と社会的地位があれば婿養子に来てもらったという人もいましたけど。上手に近所で結婚すればよかったのかもしれませんけど。丸尾さんも私もプライドが高すぎたのかもしれません。国防婦人隊みたいに「なんで結婚できなかったの?」「猫に餌やってる」「マスクがズレてる」と非国民という声が多いです。「子供を産まなかった女は老後の面倒は見なくてよい」と自民党の森喜朗が言いました。「なんで結婚できなかったの?なんで認知症なんかに興味あんのん?お母さんが認知症やからや!」と主任ケアマネジャーにも言われました。この度令和3年介護報酬改定では「無資格者への認知症介護基礎研究受講義務づけ」が決まりました。認知症介護基礎研修って私もわからないかも。認知症研究の第一人者の河野和彦先生でも「私が間違っていました。認知症と診断していた人は大人の発達障害だったのです」とか「私が間違っていました。てんかん発作をおこしていたのです」と常に失敗を認めていらっしゃいますから。

Posted by にゃん at 2021年04月16日 09:11 | 返信

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