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コロナ第四波の現状と課題

2021年05月11日(火)

コロナ第四波の現状と課題についてまとめてみた。

たぶん、日本一大変な場所でやっている気がする。

今後、医療崩壊しそうな地域の参考にして下さい。

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創刊100年の権威ある医学誌である日本医事新報に連載している。

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121回 コロナ第四波の現状と課題―認知症の陽性者をどう見守るか



保健所と医師会の連携


筆者の診療所がある兵庫県尼崎市は緊急事態宣言のど真ん中に位置している。新型コロナウイルス感染症の第四波においては変異株の流入のため感染拡大が急速で、一気に医療崩壊に至った。今回、5月6日現在の当院におけるコロナ対応の現状と課題を報告する。 入院もホテル療養もできない自宅療養者が大阪府に1万4000人、兵庫県には2000~3000人いるという。連日、医療の手が入らないまま亡くなる「放置死」が報じられている。


尼崎市医師会は昨年末、自宅療養者への往診医を募り約30人が手を挙げた。在宅主治医がいない中等症Ⅱ以上の自宅療養者の情報は、保健所→医師会の担当理事→コロナ在宅医のメーリングリスト、と流れてくる。手挙げをした登録医がすぐに往診し酸素濃縮器の設置とステロイドなどを処方するシステムが稼働している。自宅療養中の死亡を防ぐためには保健所と医師会の連携で、取り残されている感染者への介入が重要である。コロナ在宅はやはり往診に慣れている在宅医が中心になっていくのだろう。


一方、筆者の診療所では例年どおり大型連休中も通常外来を開いた。それと並行して発熱外来も開いたところ連日、30~40人の発熱患者が押し寄せ、毎日数人~10人程度の陽性者が出ている。そのうち中等症Ⅱ以上の患者には酸素濃縮器を設置しデキサメタゾン6㎎×10日とイベルメクチンを処方している。酸素飽和度が60~80%の重症者であってもすぐには入院できないので、在宅で亡くならないようにステロイドパルス療法なども行っている。  昨年来、約3000人の発熱患者を診察し、約400人のコロナ患者の診断と初期治療、約80人の中等症以上の自宅待機者への訪問診療やオンライン診療、ドライブスルー診療、そして重症化の早期発見と保健所への報告などを行ってきた。幸いなことに現在までコロナの看取りはゼロである。



コロナ在宅でできること  


コロナに対するイベルメクチン処方に関する質問をたくさん頂く。本年2月、国会において田村憲久厚労大臣は「コロナにイベルメクチンを使って保険請求してもよい」という旨の発言を聞いてから処方するようになった。ただし「エビデンスが充分ではないので厚労省として推奨しているわけではない」という旨の答弁もしている。つまり「医師の判断で使ってもよいが国としてのスタンスは黙認」というレベルであろう。だから承諾書を取る医師もいるなど、インフォームドコンセントに基づいて投与すべき薬と考えている。筆者は介護施設で時々発生する疥癬に対して使うので馴染みがある薬だ。決して怪しい治療や混合診療ではないことは明記しておきたい。


酸素飽和度が93%以下の中等症Ⅱ以上の患者には、迷わず酸素濃縮器を導入している。酸素を吸うだけでも一日で劇的に改善するケースがある。咳が激しい患者にはステロイド吸入薬や去痰剤、鎮静剤なども処方する。コロナ在宅でできる治療は限られているかもしれないが、やらないよりはましだろう。生物学的製剤などの高価な薬は使えないが、何百円レベルの既存薬は医師の裁量で投与できる。さらに精神的ケアや家族ケア、生活支援やケアマネとの連携など、コロナ在宅医の仕事は意外にたくさんある。家族内感染を防ぐために医師の視点から実地でアドバイスすることも大切な任務だ。町の開業医は逼迫する病院や感染症病棟の防波堤になり得ると考える。しかし400mリレーに喩えたら我々はあくまで第一走者にすぎない。コロナは指定感染症であるので、中等~重症例は保健所に逐次報告をして可及的速やかに入院医療につなげないといけない。「持ちすぎ」ないように気をつけている。これまでに施設で看取り寸前だった患者を入院医療で救って頂いたことが2回あり有難かった。



認知症の陽性者への対応


コロナによる死亡率が高いのは高齢者である。特に認知症高齢者はコロナに感染しやすい。①加齢に伴う免疫能の低下、②クラスターが発生しやすいデイサービスやショートステイを利用していることが多い、③マスクや手洗いなどの感染予防策を理解・実行できないことが多い、などが理由として考えられる。独居の認知症の感染者のなかには医療が逼迫していようがいまいが、入院やホテル療養ができない人がおられる。一旦、入院しても白い壁に囲まれたら周辺症状が激しく追い帰されるケースもある。しかしショートステイや介護施設も精神病院も受け入れない。従って在宅療養以外に選択肢がない。そうなるとコロナ在宅医が必要な医療を提供しながら地域の多職種が生活援助をするしかない。  


果たして「おひとり様の認知症」の人がコロナに感染した時、自宅療養を誰がどのように見守るのか。もし家族がいても家族内感染すると別々に隔離される。高度認知症の人は、コロナ感染や自宅隔離を説明してもすぐに忘れてしまい徘徊する。スーパーや食堂や銭湯などで感染を拡大する懸念がある。しかし少なくとも10日間は毎日、経過を見守る必要がある。ケアマネや介護職だけでなく、近所の親切な人や民生委員にも感染防御しながらの見守りをお願いして回るのも、コロナ在宅医の仕事だ。ただし個人情報保護や差別の回避に充分に配慮しないといけない。そして訪問看護師と往診医が充分な感染防御をした上で必要な医療を提供する。 先日、コロナ往診を終えて患家を出ると近隣住民に呼び止められた。「認知症のコロナ患者を入院させずに放置しておいて、何かあったらどうするんだ?」と怒られた。しかし第四波を機に認知症の陽性者は、軽症ならまずは地域包括ケアで対応するように変わるのではないか。  



コロナ禍におけるJR東海裁判の意味


2016年のJR東海認知症事故最高裁判決を思い出して頂きたい。認知症の高齢男性が誤ってJR東海の線路内に入り込み電車にはねられて亡くなった事故である。鉄道を止めた損害は誰が負うのかという裁判は、一審では同居の妻と別居の長男に720万円の賠償命令、二審では妻に360万円の賠償命令が下った。しかし最高裁は「家族に賠償責任はない」、つまり「無罪」であるとの判決を下した。この最高裁判決はその後の認知症施策に大きな影響を与えた。閉じ込める医療から地域で見守る介護への大転換である。現在、国の認知症施策は「予防と共生」である。しかしコロナ禍において「共生」という概念がスッポリ抜け落ちているような気がしてならない。 最高裁判決を受けて神戸市はいち早く「認知症の人が起こした事故は社会が責任を負う」として、損害を公費で賄う旨の条例を制定し、その動きは全国の自治体に広がりつつある。そして、本人の意思が明確で家族の同意があれば「おひとり様でも最期まで自宅で暮らせる街づくり」が、国が推し進める「地域包括ケア」の指標になっている。


しかし国のコロナ政策を見渡した時、なぜか認知症の一文字も見えてこない。ワクチン接種に関しても認知症の人の自己決定はどうなのか、など課題が多い。次のパンデミックに備える意味でも「認知症」という視点を忘れてはいけない。



〈最近テレビで紹介された当院のコロナ対応〉

▶2021年4月24日放送・TBSテレビ「報道特集」 →こちら

▶2021年4月30日放送・読売テレビ「情報ライブミヤネ屋」→こちら



今夜は、21時まで国立認知症大学の講演で

23時前まで、明日からのワクチン予約会議。


本当に寝る暇がなくなってきた。

ヤバい。8時間派なのに。



PS)

コロナチャンネル #366


コロナを診ている医者が、ワクチンを打てないという皮肉 →こちら



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この記事へのコメント

コロナ診療、ワクチン接種の混乱とパニックの惨状をみて思うのは、2類指定感染症を頑迷にも継続して
厚労省、保健所が仕切ろうとしたがために、自治体や医師会との連携がズタズタであるため、物事が停滞してしまうという事
インフルエンザ診療、ワクチン接種で長年やってきた従来のやり方(町医者・かかりつけ医が主導で地域とかかりつけ患者を担当する)原理原則を踏襲すれば、今のような悲惨な現状や混乱はなかったはずです。
医系技官は重症担当の大病院や専門家だけを信用して、町医者の実務能力や実績を低く軽視(無視)してきた。
インフルエンザに関してはいくら流行しても町医者の尽力のおかげで医療崩壊を免れてきたという事実を蔑ろにしている
コロナとインフルエンザを一緒にするなという意見もありますが、同じ扱いにしない限りこのコロナパニックはいつまでも延々と収まらないでしょうし、収まらなければ、社会も経済も通常運転には永遠に戻れないと思いますけどね。
町医者と民間病院に8割方支えられてきた日本の医療システムを国公立主導に転換することなど今さら現実的ではないです。

Posted by マッドネス at 2021年05月13日 12:21 | 返信

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