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圧迫骨折の在宅療養
2021年06月16日(水)
毎日、誰かが転んで、骨折している。
圧迫骨折が判明しても、自宅療養を
希望される人が、コロナ禍で増えた。
ホント、毎日、転倒されています。
コロナよりも転倒が100倍コワイ。
小林亜星さんも、転倒したその日に亡くなりました。
入院してそのまま寝たきり→施設入所、が定番です。
『きらめきプラス Volunteer vol.89』 6月14日
在宅医療は健幸医療
同居の母が骨折で手術待ち、認知機能も落ちて不安。
母の今後はどうしたらいいか? →いいかかりつけ医を探し、
デイケアや訪問リハビリも活用してください。 →こちら
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2年前に父親が癌で亡くなり、現在母親と同居している天童市にお住いの女性(51歳)からのご相談です。
Q)
一緒に住んでいる76歳になる母が3月に前足を滑らせ転倒し、圧迫骨折と診断されました。地元の病院でコルセットと骨粗鬆症のための注射を週一回行いましたが改善が見られず、MRIの結果、仙台の大学病院で手術の予定となりました。ただ、仙台の大学病院がコロナウイルスに対応した指定医療機関となっているため、手術の日程は未定と言われ、今も待っている状況です。地元の病院からは母の神経痛がひどく辛そうだということで、安静のために入院を勧められましたが、入院はしたくないと言い、現在自宅療養中です。動くと太腿や足の指に強い痛みがあるようで、1日中テレビを見て過ごしておりますが、日に日に元気がなくなり、物忘れも激しくなってるようで、時々私や息子の名前を忘れたり、食事が終わったすぐ後に「まだご飯を食べてない」と言ったりします。
もともと神経質で、考え込みやすい性格の母なので、とても親しくしていた友人が1月にコロナで亡くなったり、未だに手術の日も決まらず精神的に不安定になっていると思うのですが、認知症が進んでしまったのではと不安でたまりません。少しでも母が安心して落ち着けるようにしてあげたいのですが。ご教示のほど、よろしくお願いいたします。
A)
コロナ禍で通常医療も逼迫しているので私の周囲でも同じような方が何人かおられます。緊急事態宣言の解除を待つしかないのですが、問題はそれまでどうやって過ごすかですね。
痛み止めと日にち薬
脊椎の圧迫骨折の痛みで一時的に寝たきりになる方がおられます。寝返りでも痛い場合は痛み止めを使います。胃に負担があるので必ず胃薬を併用してください。胃が弱い方は痛み止めの座薬も頓用として使う場合があります。一種類の痛み止めだけで不十分な場合は、鎮痛補助薬や痛みを感じる脳に作用する薬を痛みが軽減するまで併用することもあります。湿布も有用ですが、保険診療では一回の処方で10袋までと決められています。ただし骨粗しょう症の薬は痛み止めではありませんから痛みに対して即効性は期待できません。
腰部固定帯(簡易コルセット)が有効です。医療機関などで調達してください。食事で椅子に座る時や室内を移動する際に着用すると痛みはかなり軽減します。通常、夜間睡眠時には外してください。それでも激しい痛みがある時は、トリガーポイント注射や硬膜外ブロックをする場合があります。後者は「ペインクリニック」の専用ベッドで行います。まずは整形外科専門医に相談することをお勧めします。
しかし基本的に痛みは「日にち薬」と考えてください。日々、少しずつ痛みが和らげば動く範囲を広げてください。2週間~2ケ月程度でかなり楽になり、それなりに動けるようになるはずです。
デイケアや訪問リハビリの活用
徐々に痛みが和らいできたら介護保険を利用してデイケア(リハビリ付き)やデイサービスに出かけましょう。自宅にこもりっぱなしでは、寝たきりや認知機能の低下が心配です。また外に出ない日には、理学療法士に家に来てリハビリをする訪問リハビリも依頼します。
ケアマネさんと相談しながら介護保険の枠を上手に使いましょう。トイレまでの手すりを設置したり立ちあがりの補助器具や歩行器などをレンタルしましょう。 もし骨折前の要介護度が自立や要支援であるなら、市町村の調査員に具合の悪い時を見てもらうと有利です。主治医意見書を書いてもらう「かかりつけ医」に家族が黄色の予診票を渡しますが、困っていることをなんでも具体的に書いて渡すことが大切です。骨折の場合は「状態不安定」で6~12ケ月の短期間という縛りがつきますが、「要介護」と認定されるでしょう。痛みが完全に収まってからリハビリではなく、痛みがあっても多少和らいできたら訪問リハビリなどのサービスをお願いしましょう。お母さまのように痛みの治療のための入院を嫌がる高齢者はたくさんいます。痛くても家に居たいのです。また入院したら面会もできないのが不安なのです。
圧迫骨折=入院、とは限りません。在宅療養で乗り切る場合もいくらでもあります。入院するよりもその方が認知機能の低下がましだと経験的には思います。
早期からの車椅子散歩
杖や手すりで室内歩行が可能になっても、外出までは少し時間がかかる場合があります。そんな時、日の高い時間帯に車椅子で散歩するととてもいい気分転換になります。紫外線を浴びることでビタミンDが活性化され骨訴しょう症が改善します。さらに朝日を浴びれば体内時計がリセットされ昼夜逆転が改善し睡眠の量と質が改善します。なによりも認知症やうつを予防するためには車椅子でもいいから、可能な限り早期から屋外を散歩をすることが大切です。
私は天気の良い日には午前と午後の2回散歩を勧めています。この季節には車に乗せてドライブもいいですね。また家に居ても日中はできるだけ日当たりのいい場所で過ごしてください。痛いからと暗い部屋に閉じこもり寝てばかりいるとすべての機能が急激に低下します。たとえベッドに寝ていても日中は窓を開けてください。暑くもなく寒くもない初夏は、屋外に出やすい季節です。さすがにコロナが心配でしょうから、人混みを避けて、公園や河原や神社などあまり人気のない自然が豊かな場所を探しましょう。家の近くに必ずあるはずです。
かかりつけ医を探そう
コロナ禍を契機に「かかりつけ医」が注目されています。発熱相談やワクチンの個別接種の際に必ず「かかりつけ医」という言葉が出てきますよね。かかりつけ医の明確な定義はありませんが、ひとつだけ言えることは日本では患者側が「かかりつけ医」を選べることです。国民皆保険制度の柱のひとつはフリーアクセス。医者は患者を選べません(医師法19条の応召義務)が、患者は医師を選び放題なのです。
貴方のお母様のかかりつけ医はどんな方でしょうか?往診もしてくれますか?圧迫骨折も診てくれますか?主治医意見書を書いたりケアマネを紹介してくれますか? つまり、かかりつけ医によってお母さまの運命は天と地ほど変わってくるのです。今のかかりつけ医が満足でなければ、是非、貴方とお母さまにあうかかりつけ医を探しておいてください。
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PS)
コロナチャンネル #403
悲劇...大阪の救急隊員が2回目のワクチン接種前にコロナ感染! →こちら
連日、深夜の往診が続く。
24時間働く、狂った62歳。
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この記事へのコメント
デイリー新潮の記事を拝見しました。
改めて文章で読むと頭が下がります。
長尾先生みたいな人が一つの市に数人いたら、日本ではほんとコロナごときはただのさざ波になりますね。
Posted by 匿名 at 2021年06月17日 09:29 | 返信
先生の新潮記事がヤフーニュースに出ていますね!
週刊新潮も今回初めて購入しました。
先生のご意見は実際の現場から出たものです。一番耳を傾けるべきだと思います。
Twitterでも「これはいちいちみなもっともだ」と新潮記事がリツイートで回ってきて驚きました。
私のすぐ身近でもコロナにかかられた方が数人出ています。
長尾クリニックでこの1年4ヶ月の間、誰も倒れたりしていないのは奇跡という言葉で片付けてはいけない。
然るべき対処をしているから大丈夫なのだと思う。仕事も休んだりリモートではなくやりがいのある現場というのも本当は各自の免疫力も燃え上がっているのではないか?
もっと足元を掘り下げて、コロナを考え直していただきたいですね。
経済に関しても、海外と取引のある息子の会社は外国は注文が戻ってきているそうですが、日本はストップしたままだと言ってました。
オリンピックはもうやるしかない。それならば上手に舵取りをして、V字回復をしてくれることを祈ります。
日本中の町医者が長尾クリニックを参考に国民を安心させる場になっていただきたいです。
先生。本当にありがとうございます。
8月のチキンジョージのイベント参加して先生とハグしたいなぁ!
Posted by 匿名 at 2021年06月17日 12:08 | 返信
狂った62歳!いいですねえ、カッコいいです!!コロナだろうが認知症、骨折だろうが分け隔てなく(もちろん配慮は充分)人を助ける先生はみんなのヒーローです。
Posted by 匿名 at 2021年06月17日 12:38 | 返信
#403 観させていただきました。
他人事ではない気持ちになりました。どんなに感染予防しても、ダメなんでしょうか…と悲しくなってしまいます。
目に見えないウイルスとの闘いで、あちらは、飛び道具で、こちらは、防護壁しかなくて、、。
先日、お仕事で、救急車を呼びました。救急隊はバッチリ感染対策されていました。
違う日に、違う方を介護タクシーを呼びました、残念ながら、介護タクシーさんは、マスクひとつでした。
それから、気になり、車で移動時、すれ違う救急車と介護タクシーを見るようになりました。
介護タクシーさんは厳しいなぁと思い、なんとかならないのかと友人の議員さんに相談しました。
介護タクシーさんは国土交通省の管轄だと、、、、なんで?なんで?そうかもしれないけど、そうじゃないよね…と叫んじゃいました。介護タクシーさんが潰れたら、救急隊員さんも逼迫するよ。わからんのか⁉︎
この話は、5月に医療従事者優先接種が始まった頃です。
それから、6月に入り、地元行政から、余ったワクチンを介護の方にという電話が入り、介護タクシーさんもこの介護の方にという枠に入らないのかと言わせていただきました。
私は、介護タクシーさんではないので、現在、どのようになったかは、わかりません。それに、介護タクシーさんに聞くことも失礼だと思って聞けません。
わかりそうなのに、わからない人たち。今まで、どうやって、やっていたのか、、呆れてしまいます。
これで、オリパラをやるっていうんだから、どうなっちゃったんだろう。
それでも、我が道行くっきゃないのか…と思っています。
Posted by 宮ちゃん at 2021年06月17日 09:34 | 返信
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