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第3,4波を検証して第5波に備える

2021年07月20日(火)

日本医事新報7月号は、「第3,4波を検証して第5波に備える」

で書いた。サブタイトルは「開業医が感染症病床の防波堤に」。

1年前からそう言ってきたがまだ同じ考えの人はおらず残念だ。

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日本医事新報7月号


第3、4波を検証して第5波に備える

―開業医が感染症病床の防波堤に   長尾和宏   →こちら    



クラスター発生時の補償制度創設を  


7月2日現在、当院の発熱外来は連日、患者数が増加し毎日陽性者が出ている。6月後半から2週間は陽性者がゼロであったのに、はや第5波の足音が聞こえてきた。第4波までと違い若者が多いのはデルタ株に置き換わってきているのだろう。感染力が高いデルタ株の重症化率や致死率を早く知りたい。今こそ、第3、4波の医療対応を検証し第5波の最悪のシナリオにも備えておきたい。  現在でも多くの開業医が発熱患者を門前払いしているそうだ。


しかし医療従事者へのワクチン接種が済んだ今、自身の感染リスクを懸念する医師は減っているだろう。むしろ院内クラスターの発生やコロナ患者が出入りするという風評被害を恐れているのだろう。筆者は開業医が早期診断と早期治療を行い感染症病床の防波堤になろう、と呼び掛けてきた。そのためには発熱患者を診る開業医を増やさないといけない。


政府には院内クラスターが発生した場合の補償制度を至急創設して欲しい。加えてマスコミの過剰な報道の規制もお願いしたい。介護施設も含めてクラスターを悪事のように報じる態度を改めるよう規制して欲しい。もしも日本医師会が発熱対応に積極的でないのであれば、政府が直接各医療機関に要請すべきと考える。あくまで補償制度とセットにして発熱対応に取りくみやすい環境を整えるべきだ。



保健所が在宅医療を知らなかった  


世界一の病床数を有する日本が「さざ波」で医療崩壊した第3、4波を検証すべきである。NHKは8割の病院が陽性者を受け入れなかったと報じた。多くのマスコミは医療崩壊の原因を中小病院に求めたが見当違いである。中小病院の多くは民間病院であり、開業医と同様にクラスター発生に伴う様々なリスクを背負っている。病院の経営基盤は開業医よりもさらに脆弱なので、より大規模な補償制度がない限り積極的な受け入れは期待できない。


そもそも通常医療を守ることが病院の大きな使命である。コロナ禍においても日本人の死因(2020年)のトップは、がん(40万人弱)であり、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎自殺と続く。なお、2020年のコロナ死は3500人であった。命を救うという病院の使命から考えると、多くの病院が陽性者を受け入れるという戦略は合理的であると思えない。やはり地域の実情に応じた選択と集中で受け入れるべきだ。


一方、開業医が防波堤として機能すればするほどに、感染症指定病院の需要は抑制されるはずだ。阪神間では第3、4波において発症から1週間以上「放置」された結果、人工呼吸器やECMOの装着に至った人が多かった。では多くの自宅療養者ないし自宅放置者になぜ在宅医療や地域の多職種連携を活用しなかったのだろうか。


筆者は昨年3月から本連載で「コロナはまずは地域包括ケアで対処すべき病気である」と発信してきた。しかし多くの保健所は軽症者の在宅管理を開業医に依頼しなかった。認知症など様々な理由で入院できない方がいても実質、放置されていた。  


筆者はある保健所スタッフにその理由を聞いてみた。すると「在宅医療を知らない」とか「在宅医を信用していない」という声が返ってきた。平時において在宅医療と保健所の接点がほとんどないことが、自宅療養者への医療提供を阻んでいたようだ。しかし今からでも遅くない。保健所が往診医の実績を知ったうえで、地域包括ケアに積極的に参画して頂きたい。パンデミック時には往診医を有効活用すべきだ。



「隔離機能」と「医療機能」の分離を


尼崎市では昨年末から尼崎市医師会と保健所の連携が強化されている。自宅待機者の情報は保健所経由で予め登録している往診医のメーリングリストに流される。それを見た手の空いている開業医が自宅に往診して必要な処置を講じてきた。中等症以上の人にはあくまで入院までのつなぎという位置づけであるが、在宅医療で救えた命があった。 第3波以降の保健所での「目詰まり」が多くのメディアで指摘されている。筆者は1年以上前からそれを指摘してきたのだが、やっと報じられた。


第4波においては患者さん宅に保健所から連絡があるまで3日間もかかっていた。電話があってもまず入院はできないし、薬をもらえるわけではないので、「放置」者が大量に発生した。さらに発症10日目以降に急変しても、保健所は「10日経ったので隔離解除です。あとは保健所は知りません」という態度をとってきた。今でも保健所への怒りに震え、PTSDに悩む患者さんが沢山いる。  


こうした「保健所における目詰まり」は統廃合の波に晒されている保健所が悪いわけではない。大量にいる患者さんへの医療提供を保健所に一任する「法律」を作っている「政治」に責任がある。第5波において、保健所は、本来の任務である「隔離機能」に徹して頂き、「医療機能」は診療所と病院の連携(病診連携)や病院同士の連携(病病連携)に任せるべきと考える。つまり平時に普通に行っている医療連携を保健所から独立した医療連携室が行うべきだ。つまり「隔離機能」と「医療機能」の分離である。  


今こそ指定感染症に関する法律の見直しを提案したい。つまり2類相当から5類へという意味である。1年以上前から指定感染症の解除を本誌でも再三主張してきたが、そろそろ本気で考える政治家が出てほしい。次のパンデミックを想定した保健所に関する法律の改定や地域医療構想の見直しなど、課題は山積している。



イベルメクチン治験への期待  


筆者は第4波において中等度Ⅱ以上の自宅療養者に対してステロイドとイベルメクチンを積極的に処方してきた。あるメディアのインタビューでそれを話して以来、沢山の取材依頼が舞い込んだ。さらにその報道を見た全国の市民から連日、イベルメクチンの処方依頼がメールや手紙で舞い込んだ。それを望む理由は以下の3つに集約される。


①自分が感染して自宅療養になった時のため、②要介護の親や身内が感染した時のため、③ワクチンが打てない、もしくは諸事情で1回しか打てなかった。要は、イザという時のための常備薬として持っておきたいというわけだ。  


そもそも「コロナ感染に対するイベルメクチンの処方は保険請求してよい」と田村憲久厚労大臣が国会で述べている。ただ「エビデンスが充分ではないので政府として処方を推奨しているわけでもない」と加えている。しかしコロナにイベルメクチンを処方してよい事すら知らない医師が多いようで、SNSで闇治療医という非難を受けた。それにしてもなぜイベルメクチンだけがこんな騒動になるのか考えてみた。


筆者はイベルメクチンを普段から在宅現場で疥癬の治療薬として処方しているので、副作用が軽微であることを知っており、同時に沢山のコロナ自宅療養者を診ているので使っているだけだ。ただこの2つの条件を満たす医師は全国にあまり居ないのだろう。だから断っても断っても処方依頼が舞い込む。  7月1日、国内でイベルメクチンの臨床治験が始まるという報道が流れた。


先月には米国の救命救急医たちが積極的な使用を提言した。大村智北里大特別栄誉教授により日本で発見されたイベルメクチンへの期待は世界レベルで高まっている。今後の臨床治験に多くの医師の協力を得て年末によい結論が出ることを期待している。現在、感染者への投与は認められているが、予防投与は自費でも認められていない。そのため個人輸入している市民が多いようだ。


第5波には間に合わないかもしれないが、ぜひ、インフルに対するタミフルやリレンザの予防投与のように、イベルメクチンの予防投与に関するデータが蓄積されて多くの市民の期待に応えられる日が来てほしい。市民が予防薬として備蓄することができれば、不安感情の軽減に寄与できるだろう。  



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



毎日、陽性者が出る。

でもみなさん、若い!


しかし多くはホテル療養ないし自宅療養になる。

ベッドは空いているが軽症者は入院にならない。


だから、希望者にはイベルメクチンも処方しておく。

一旦、ホテル隔離となれば処方するチャンスはない。




英国はスゴイね。

日々の感染者が5万人でも、完全解除。


その科学的分析に裏づけられたメリハリはスゴイね。

やはり、国のトップが「覚悟」を持ってるから可能。


日本の政治家も「覚悟」を持って臨んで欲しい。


PS)

コロナチャンネル #436_


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この記事へのコメント

今回の英国(ジョンソン首相)の対応には驚きました。昨年も同じことをやってコロナ死者を多数出してしまい、自身もコロナで重症化して大変な目に遭った。にもかかわらずワクチンと科学的分析を信じて解除に踏み切った「勇気」と「覚悟」
世界最速でワクチン接種を開始して国民の7割ワクチン接種終わるまで、厳粛なロックダウンを半年かけて段階的に解除してきた上での自粛解除。本来、政治家に求められるべき姿勢ではないかと思います。大事なのは失敗を正直に認めて次に生かす事。
日本医事新報7月号の先生の記事はやや難しい内容ですが、要するに「インフルエンザと同じ扱いにしてくれ」という事なのかなと勝手に解釈しています。宇宙服を着て診察しないといけないから開業医は誰もやりたくないのでしょう。
ワクチン有効性を本当に信用してるのであれば、白衣とマスクとフェイスシールドくらいで診察したらいいと思います。
この猛暑の中で宇宙服で何時間も動き回るのは本当にヤバいと思います。何のために医療従事者は優先的にワクチン接種したのでしょうか? 少なくとも発熱外来1次診療レベルでは宇宙服ルールを早くやめてほしいと思いますが。

Posted by マッドネス at 2021年07月20日 06:14 | 返信

先生。今日も恐ろしい暑さです先生は大丈夫でしょうか?私は暑さに弱いのです夏生まれなんですが。
今テレビでコロナ軽症者用に漢方薬が・・と。私の知っている先生が北里大学東洋医学を学んでいました、その建物に入るとお灸と漢方の香りがしていてその中に居てるだけで病気が治りそうでした。漢方を嫌がるドクターも居ますが、私は大好きです。ツムラの漢方1番は何でしょうか?て処方薬局で尋ねたら「葛根湯」・・ピンポン。
自宅療養でお薬を飲んでコロナが回復したらそんな嬉しい事は無いです。普通の風邪のように。

辛坊治郎さん阿闍梨・・そうですね。何が彼を動かしているのでしょうね、是非政治家になって欲しいです。

Posted by 長尾先生大好き。 at 2021年07月20日 04:51 | 返信

イギリスのジョンソン首相のコロナ規制全廃は、ヤフコメでも絶賛されていたのですが、違和感があります。

その直前に政府が規制強化を発表したのですが、暴動が発生しそうになったので、ガス抜きをしたというのが正直なところではないかと。

もう一つ。過去に何度も投稿させていただいた通り、コロナは最初から政治問題であり、コロナという病気そのもの、マスク必須、アルコール消毒が問題の核心ではありません。理由はコロナでなくても何でもいいから、人々に行動規制を押しつけなければいけないという論文が、著名な学術誌に掲載されています。

コロナを言い訳にして、政府が新規導入を目論む制度がある。それは、IT技術を活用した、政府による個人管理です。2022年までにシステム仕様の詳細まで詰め、国民に周知徹底し、遅くとも2023年には全面導入するEUの内部文書がネットに漏洩しています(これも以前投稿しました)。

ジョンソン首相は、規制全廃と同時にワクチン・パスポートの導入を伝えています。「マスク不要」ばかり大々的に報道されましたが、「事実上のワクチン強制」「非接種者に対する行動規制」は新規導入されるのです。なぜか同時期に、フランスもワクチン・パスポート導入を発表しました。少し前まで大統領自身がパスポート反対を繰り返し表明していたにもかかわらず、ある日突然、真逆の政策を発表した。

政治家は、本当にやりたいことを軽々しく言わないものです。発言した途端に潰されるから。どこの国も同じです。

Posted by 憂国人 at 2021年07月20日 05:58 | 返信

「第3,4波を検証して第5波に備える」、「第3、4波を検証して第5波に備える―開業医が感染症病床の防波堤に 」拝読いたしました。読後、いまさらながら、将来的課題と緊急に解決を要する課題との二つの本当に難しい課題が絡み合い山積していると私は思いました。そして、やはり現行の「感染症法」等の法律が全ての課題の根源になっているのではないかと専門家ではありませんが思い当たりました。その証拠として、昨年2月の「専門家会議」でコロナ感染を現行の「感染症法」上の二類相当と定め、検査は「有症状者」・「濃厚接触者」のみに限り行政検査としてのPCR検査を行い、検査対象は「37.5度以上の発熱4日間」などというルールを定め「保健所」「感染症指定病院」「国立感染症研究所」だけがコロナ感染者を独占的に扱う体制を決め、クラスターを抑えれば感染は収束させられる、検査を増やすと医療崩壊を招くと主張してきました。その後、世界の研究者から、コロナ感染者の80%が無症状で「有症状者」同じ程度のウィルスを発散させ、経路不明の市中感染者を多数発生させる原因となると研究発表があってもそれを無視続けました。そのため日本で感染が激増した時に「保健所」「帰国者・発熱外来」「感染症指定病院」「国立感染症研究所」がパンクして検査難民が多数発生し、検査も治療・入院も出来ず多数の方が犠牲になってしまったことは皆様も良くご存知の事と私は思います。その中で、長尾先生が独自の判断で、発熱外来を自院に設置し、命を懸けて懸命にコロナ感染者の方々を治療されて一人の犠牲者も出さずに、コロナ感染の方々の命を救われたことは本当に貴重な事であると私は思います。長尾先生の医療方針を全ての開業医の方、中小病院に当てはめることは出来ないとは私も思いますが、そのことを政治家、厚労省官僚、医系技官は深く反省し、現行の「感染症法」等の改正、廃止、新しい現実に適応した「感染症法」体系を作成する努力をして、不幸に犠牲になられた方々のためにも応えていただきたいと思います。
また、韓国、台湾、ベトナム、中国等ではそれぞれの国の方法で、コロナ感染を日本より被害を少なく抑えることが出来ていると私は考えています。日本の政治家、厚労省官僚、医系技官等は、世界での成功例から日本に応用できることを学ぶ事が必要であると思います。世界の最新情報を把握し、世界から学び、臨機応変に感染症に対応できる体制の作成が、今重要になって来ているのではないでしょうか。コロナ感染の事は専門家ではない者には本当に難しい問題が山積していると私は切に思います。
偉そうなことばかり書き連ねてしまいましたが、ご容赦下さい。
猛暑が続いております。長尾先生、スタッフの方々、どうぞお身体に気を付けてください。

Posted by 洋ちゃん at 2021年07月20日 08:07 | 返信

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