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もう、ぐちゃぐちゃですわ
2021年07月21日(水)
東京オリンピックの話、ではありません。
猛暑による熱中症の話、でもありません。
コロナ診療の現場の話、です。
「ぐちゃぐちゃ」を3つ書いてみよう。
【1 陰性証明書のためのPCR検査】
コロナに感染して、ホテル療養を経て保健所から「治癒した」と
言われても、陰性証明書のための自費PCRを求める会社が、多い。
そんな背景を知らないまま、自費PCR検査をしたら強陽性、に。
Ct値が30で振り切れるくらいだから抗原検査でも陽性のはず。
その人は、いつまでたっても職場に入れてもらえない。
企業や学校が「陰性証明書」を求める限り、こうなる。
「それは死んだウイルス、つまりゴミを拾っているだけ」と言う専門家。
しかし、「本当にそうなのだろうかな?」という疑問も浮かんでくる。
「感染から10日経てば感染性はほとんど無くなる」というけど
当然、例外や個人差が相当あるので、疑うことが医学の基本だ。
Ct値30で振り切り=ゴミ、で本当にいいのか?
本当に感染性はない、と誰が言えるのだろうか?
そんな素朴な疑問が浮かぶ。
コロナ感染は全身性の慢性感染かも、という妄想がよぎる。
一方、「陰性証明書」にこだわる会社をなんとかできないか?
オリンピックでの厳しい「毎日PCR」の影響は明らかである。
まだ始まっていなにのに、来日後、50回ものPCRを受けた選手もいる。
「ゼロコロナ五輪」と同様に「ゼロコロナ会社」を目指す会社経営者。
「PCRをRNAウイルスの検査に使ってはならない」という遺言を
残して一昨年8月にこの世を去ったキャリーマリスはどう思うか。
「陰性証明書」のためと分かりながらも「自費PCR」を
する医療機関のモラルとはどうあるべきなのだろうか?
【2 ホテルや自宅療養者からの悲鳴】
第五波においてはベッドは空いていても簡単に入院できない。
若者が多いので元気と判断されて、ホテルや自宅療養になる。
要は「外見」だけで保健所に「軽症」と判断されたのだろうが、
決して「軽症」ではなく、彼らからのSOSが僕の携帯に流れる。
結局、入院加療となる例があるがまるで重症化を待っている様。
それを見越してステロイドやイベルメクチンを渡している、私。
保健所が治してくれるわけではない。
保健所はお医者さんではなく役所だ。
しかし残念ながら、第五波においても「隔離機能」と
「医療機能」の分離は行われておらず、進化は、無い。
ただただ、残念である。無力感しかない。
町医者ができることは、悲鳴があればそれに応えるだけ。
【3 小児の感染が想定されていない】
第五波の感染者は、みんな僕より、若い。
学生や20代、30代の喫煙者か肥満者、だ。
家族内感染が非常に多いのだが、3歳や5歳の
陽性者もいて、陽性の母親ともども自宅療養となる。
しかし陽性の親が高熱や嘔吐下痢で倒れたら子供はどうなるのか?
同居の陰性の祖父母が、子供や孫の「介護」をする事態、になる。
そんな人達からの悲鳴の電話がかかってきては対応している。
しかし3歳や5歳の陽性者は、さすがに「保健所に相談して」と。
平時でも小児の在宅医療をする小児科医はいないのに
ましてコロナ陽性の子供を往診する小児科医はいない。
保健所はおそらく、「3歳の陽性患者」を想定していない、はず。
デルタ株による第五波においても、「想像力の欠如」が露呈する。
こんなぐちゃぐちゃな状況の中、ワクチン接種も行っている。
がんや認知症のややこしい相談もまた増えてきたし熱中症も。
テレビで解説している専門家は、現場で起きている現実を知らない。
自分の頭に勝手に描いた「想像」だけで喋っている能天気者ばかり。
政治家も官僚も絶対に「現場」を見ようとしない。
事件は現場で起きているのに、現場を直視しない。
だから、対策がうまくいくわけがない。
ぐちゃぐちゃなコロナ状況のなか、ぐちゃぐちゃな五輪があと3日で始まる。
まあ、なるようにしかならない。
すべてはコロナ様のご機嫌次第。
町医者の戯言など、いくら書いても何の意味もない。
しかし僕のストレス発散のために書き残しておこう。
PS)
コロナチャンネル #437_
第五波到来! 今までと何が違って、何が同じなのか? →こちら
リクエストをたくさん頂いたので、また下手な替え歌を歌ってみます。
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この記事へのコメント
お疲れさまです。
長尾先生の発言が世間に広がってくれる事を願います。
PCR検査とマスクをやめれば
ぐちゃぐちゃな状態も変わるのに
やめられないのですね。
Posted by kaoru at 2021年07月21日 08:47 | 返信
🐾
ファイティン(韓国語でファイトの意。代筆 綾小路)
Posted by うめ&もも🐾 at 2021年07月21日 11:18 | 返信
コロナが始まってから日本という国の化けの皮がはがれ 本質が少しわかってきたような気がします。
先生もおっしゃってるように 何もかもぐちゃぐちゃ 権威お金などには弱く 弱い者には強い 国民をだます
あげればきりがないです。 結局 政治家ってこんなものと思いますが、長尾先生の様な誠実な方がまだおられるので
ちょっとだけ救われて心が和みます。 先生!歌もいいですよ! それと先生の色々な情報がとても役に立っています。
コロナチャンネル毎日楽しみにしていますね。
Posted by 宝塚の at 2021年07月21日 04:28 | 返信
先生、今日も溶けそうな暑さでしたね。今日も飛び起きてラジオ体操に参加してきました。娘も会社でチームでやっていると言ってました、機内保安業務やからと。オリンピック、ぐちゃぐちゃですよね、コロナで一年延期になったのに時間があったはずなのに、開会したらもっといろんな事が起きてくるのでしょうね。
永ちゃんの替え歌お上手でした。声があっているのですね、ずいぶん昔大阪城ホール、娘とお散歩、怖そうなお兄さんたちが歩いてる・あっちにも、こっちにも、怖いなぁと思っていのですが・・よーく見ると首からタオルが、皆さんスーツにタオルでした,矢沢さんのコンサートでした。
去年の夏のコロナは大人しかったのに。
Posted by 長尾先生大好き。 at 2021年07月21日 05:20 | 返信
「もう、ぐちゃぐちゃですわ」拝読いたしました。私もそう思います。私の「もう、ぐちゃぐちゃですわ」は、コロナ感染者が激増しているにもかかわらず、感度の低い「抗原定量検査」にこだわり、その結果、「抗原定量検査」をすり抜けた「感染者」が「ウィルス」を拡散して、毎日陽性者が増え続けているオリンピック選手と関係者の状況に、JOC,組織委は何にも感じないのか、全く検査方法を変更しようともしない愚かさは、政府、厚労省、分科会(旧専門家会議)が現実を見ずにコロナ感染対策の大失敗を同じように繰り返している事と同じであるという事です。「もう、ぐちゃぐちゃですわ」とオリンピック選手は心では思いながら覚悟しているに違いありません。もし、感染したら場合によっては自分が今まで営々と築き上げた選手生命が一瞬にして絶たれてしまう可能性もあるはずです。「国民の命」は、もちろん大切です。同じようにオリンピック選手の方々の人権も守る事も大切であると私は思います。
「PCR検査」については、日本ではいろいろと意見もあり、極論では「ウィルス」は存在しないと主張している研究者もいます。それならば、私はその持論を、正々堂々と狭い日本で主張するのではなく、世界のひのき舞台に出て「ランセット」、「サイエンス」、「イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」等の世界的医学誌に何故発表しないのか、非常に疑問を持っています。
「日本は、臨床研究でデータを積み上げて、オープンに議論する必要がある、科学は観察が基本である。」と、有名な科学者「ガリレオ」などを例にして上昌広先生が、つい先日19日のビデオ対談で仰っています。長尾先生が、ご自分の臨床現場でコロナ感染者の方々の様々な症状を観察されている事こそ、将に日本で最も求められている「科学」でもあると私は思います。日本の臨床医で長尾先生ほどコロナ感染者の方々の治療を行い、お一人も犠牲者を出されていない方はいらっしゃらないと私は思っています。現実を見ない政治家、官僚、医学研究者に、本当の現実・科学を突きつけるために、ぜひ、その貴重なご経験をこれからの日本の感染症対策に生かしていただきたいと私は切に思います。
偉そうなことばかり書き連ねてしまいましたが、ご容赦下さい。
危険な猛暑が続いております。長尾先生、スタッフの方々、どうぞお身体に気を付けてください。
Posted by 洋ちゃん at 2021年07月21日 09:58 | 返信
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