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在日コリアン文学を切り拓いた梁石日さん
2024年07月13日(土)
在日コリアン文学というジャンルを
切り拓いた梁石日さんが旅立たれた。
その最期について夕刊フジに書いた。
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作家・梁石日さん 父の暴力、在日コリアン...
人生の呪縛を文学に投影
人一倍苦労してきた最期が穏やかなものであったことに安堵
夕刊フジ 長尾和宏 →こちら
僕がこの人の作品を手にしたのは、戦後の大阪を舞台にした映画『血と骨』(2004年)を観たのがきっかけでした。
本作の監督は一昨年、この連載で書かせて頂いた故・崔洋一さんでした。主演のビートたけしさん演じる金俊平は、昭和という時代に翻弄された済州島出身の在日朝鮮人。
常に暴力的、誰も信じることのできない自己中心的な人物で、家庭のことなど省みない。しかしその孤独ゆえの危うさに、金という男からどうしても目が離せない...。
この原作のほか、同じく崔洋一監督で映画化された『月はどっちに出ている』の原作『タクシー狂躁曲』をはじめ『夜を賭けて』『闇の子供たち』など社会の暗部を抉るように書き続け、在日コリアン文学という新たなジャンルを切り拓いたことでも知られる作家の梁石日(ヤンソギル)さんが、都内の病院で亡くなりました。享年87。死因は、老衰との発表です。
老衰と死因に書いてもいい死亡年齢は、何歳からですか? 若い医師からそう尋ねられることがあります。医学的な年齢の定義は明確にはありません。平均寿命(男性81歳、女性87歳)を超えてほかに死因が見当たらない、穏やかな枯れるような最期だった場合、ご家族と相談して「老衰」と死亡診断書に書くことがこの10年ほどは増えています。
ただし70代であっても「老衰」としか書きようのない死も、時々あります。 これは僕の勝手なイメージですが、梁さんの死因が「老衰」だったことに不思議な安堵感がありました。在日コリアン二世として人一倍苦労をし、血肉を削るようにして激しい作品を書き続けてきた作家の最期が穏やかなものであって良かったと思いました。 『血と骨』の主人公・金俊平は梁さんの実の父親がモデルです。
梁さんは、あるインタビューでこんなふうに語っていました。 「毎日親父の暴力におびえて暮らしているわけです。親父には憎しみしかなかった。家族は一番弱い存在でしょう。子どもとして絶対に許せなかった」 また、当時の在日コリアンが置かれていた状況については、こんなことを話しています。
「アプリオリ(先験的)に虐げられた存在ですから、家族は大概不幸ですよ。他の在日の家族も似たようなところがあります。親父の場合はちょっと特殊ですけどね」 母娘の関係がそうであるように、息子も、父親の人生が激しいほどその呪縛を背負って生きることになります。僕の父親は若くして自死したのですが、父の享年を越えたとき、何かから解放されたような気持ちにもなりました。
人生の呪縛を文学に投影し続けた梁石日さん。人間万事塞翁が馬、作家の生き様に頭が下がります。
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PS)
松山城の崩落、お見舞い申し上げます。
その他、いろんなことがあった昨日。
宜しければ、僕のXのスペースを聴いてください。
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この記事へのコメント
梁石日の小説は読んだことはないが映画化された『月はどっちに出てる』は観たことがある。自動車電話ではなくケイタイが使われていた場面に息を飲んだ。
中卒で関西に初めて就職したとき、定時制高校で賃金格差を経験した。私は中小企業で日給170円だったが、大手の養成工は180円だった。日雇か廃品回収業をやっていたのは朝鮮・韓国籍の同級生だった。「国籍条項」で日本企業には就職できなかったという。どどんと後世代のアンミカさんのこども時代もよく似た情況だったようだ。
同級生から当時の「帰国事業」に参加するかどうか相談を受けたことがある。家まで行ったら、河川敷の歩道に住んでいた。橋の下だったので屋根はなくても雨露はしのげたようだった。僕も畑地の倉庫を間借りして住んでいたが、思わず賛成してしまった。その後生き抜けただろうか。後悔先に立たずだ。
Posted by 匿名でごめん at 2024年07月13日 12:20 | 返信
私の父は母と売布のコープの映画館で「月はどっちにでている」を観劇しようと申し込んでいたのですけど、運の悪いことに阪神大震災でキャンセルとなりみることができませんでした。
梁石日さんの「血と骨」は朝日新聞であらすじが書いてあって「第二夫人というかお妾さんが病気で死にかけたら、主人公の金俊平が、その女性の顔の上に自分のお尻を載せて座って殺してしまった」という凄まじい内容だと書いてありました。
あんまりその書籍を読む時間も無いので、詳しくは存じません。
日本はただでさえ、上は天皇陛下を頂点とする部落差別の国ですから、外国系日本人とか、移民問題では、私は勉強不足でよくわかりません。
文学から勉強を始めたいと思っています。
Posted by にゃんにゃん at 2024年07月14日 04:34 | 返信
リチャ輿のブログを観ました。都知事選挙速報は菅元総理の息のかかった選挙速報の会社が報じているから、あんまり信じないほうが良いですよと仰っていましたので、そうかなと思いました。維新の会や、統一の勢力も大きいそうです。リチャ輿はトランプの方がましだといっているみたいです。
私はボケてもバイデンさんの方がマシと思います。RFケネディjr.も、わくちん反対で動いているようですけど、顔もいいし、体もいいけど、お頭がイマイチな感じがします。他人の事は言えないけれど。
Posted by にゃんにゃん at 2024年07月14日 04:55 | 返信
かずくん、お疲れ様です。
あなたの怖いことが百あるなら
面白い遊び方と玩具を百見つけよう
怖いことは数えきれないほどあるけれど
楽しい遊びは虹色では納まらない種類の彩りで
洪水になった色が足元にも天にも溢れている
あなたがお腹が空いたなら
たくさんの種類の食べ物を探す旅に出て
魔法のスプーンで食べさせてあげよう
生まれてきたお水はみんな一緒だけど
たったひとつの食べ物では誰も永く生きられない
桃の切り方が分からなくても誰も教えないから
わたしが切り分けた桃を一口づつ口に入れる
そうやって見つけた食べ物を少しずつ口にする
匙で運んだ相手は
仏様かも知れないし哀しい鬼かも知れない
そうやって与えたわたしも誰だか知らないまま
映し出される鬼と仏を観る
そしてお水から生まれる無限大数の命の洪水に
のまれるように光の世界へ弾き出される
この作者のお名前は初めて知ったのですが、『闇の子供たち』の映画は観ています。
当時かなり話題になっていましたし、今でも思い出せるほど衝撃的なシーンばかりでした。一度袋に捨てられた子どもは、たまたま運良くお家には帰れたけれど、残酷な物語の中に何一つ希望が無い様子は、今と日本とも酷似しているのかも知れません。
差別というのは、気にする人の中には存在するものだけど、気にしない人(例えば子どもとか)には「一人芝居」にしか見えないもので、誰の中にも気が付かない差別があるのだと思うのですけど、「差別」から自由でいたい子どものような存在と柔軟さは、あった方が良いなあ…と現実的に思います。
「これじゃなきゃダメ!」という拘りは、要するに脳の切り替えの悪さでもあるから、歳を取るごとに気難しくなるのも分かるし、「食べ物」はお水とパンお米だけ、と言っている様なもの。
一番目に見えないのは、自分自身の影なのは真実。
それでも世界は無限大数の色彩で輝いている。
料理人と音楽家は、世界を跨ぐんですよね(笑)
本も改めて探して読んでみようと思います。
梁石日氏のご冥福をお祈りします。
本当に久しぶりにゆっくり書けた気がします。。
今日も、お疲れ様でした。
Posted by 白夢 at 2024年07月18日 12:29 | 返信
私は、アルバイトで就職するとき学歴を「高卒」にしました。
マイナンバーカードが無ければ、どうにでもなるのでは。
Posted by にゃんにゃん at 2024年07月18日 10:05 | 返信
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