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石飛幸三先生を偲ぶ
2024年09月30日(月)
「平穏死」の生みの親である
石飛幸三先生が亡くなられた。
夕刊フジに偲ぶ記事を書いた。
長尾和宏「ドクター和のニッポン臨終図巻」 →こちら
医師・石飛幸三さん
師の死に思う医者の使命「責任を持つこと」と「気持ちを支えること」
歳をとるということは「他者の死に慣れていく」ことでもあると実感する今日この頃です。還暦を過ぎると友人の訃報がぽつぽつ届くようになる。昔ほどショックを受けることはなく、ああアイツも逝ったのかと、一緒に船旅をしていた人が先に下船してしまったような心境に。
しかし、師と仰いでいた人の訃報は、また少し違う気持ちになります。「後はお前がしっかりやれよ」。そんな声が聞こえてきて、背筋を正すのです。 僕の心の師、医師の石飛幸三氏が今年7月に亡くなりました。昭和10年生まれですから、享年は89か90だったはずです。死因もわかりません。
テレビやラジオに多く出演する有名医だったのにもかかわらず、訃報記事がどこを探しての見つからない――そんなことってあるの? だから僕がここに追悼を書きます。
石飛幸三先生が有名になられたのは2010年、『「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか』(講談社)という本の出版からだと記憶しています。
2005年から東京にある特別養護老人ホームの常勤医でした。 施設で穏やかに枯れるように終末期を迎えた人に対し「とことん治療をして」「食べられなくなったら胃ろうを」と願う家族が多くいる。終末期の延命治療は、かえって苦しむことがわかっているのに、過剰な医療を施すことを多くの医師が「是」と思っている。
あるとき石飛先生にこう伝えました。「在宅看取りであれば平穏死は叶います」。そして、在宅医の視点から僕が2012年に上梓してベストセラーになったのが、『平穏死 10の条件 胃ろう、抗がん剤、延命治療いつやめますか?』(ブックマン社)です。
石飛先生よりさらに踏み込んだからでしょうか、医療界からたくさん石を投げられました。延命治療は正義と思っている医者にとって、僕は地動説を唱えたガリレオ・ガリレイに見えたのでしょう。石飛先生は僕を励ましてくれました。
「いろんな意見があっていいんだ。批判は甘んじて受けなさい」。 あれから12年。医療崩壊は進みコロナ禍によって分断は大きくなるばかり。在宅医療にも金儲けで参入する企業が増えてきました。
在宅死が増えたように見えても、それは孤独死だったり、医療から見放された人の死だったり。僕は医療に絶望し現場から卒業しました。こんな状況のなかで、我が師・石飛幸三がいなくなった――
「まだ諦めてはダメですよ」と言われたような気がします。 先生はよくこう言っていました。
医者にとっての二つの使命とは「責任を持つこと」と「気持ちを支えること」であると。この二つのメッセージを、僕が若い世代に繋いでいけたらいいのですが。
PS)
結局、電話はかかってきませんでした。(笑)
今夜のニコニコ長尾チャンネルのゲストは池田としえ氏。
凄い内容になるはず。
必見です。
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