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多剤投薬の根は深い
2010年03月14日(日)
昨日は創薬問題を書きました。一方、ジェネリック薬は沢山の深刻な課題を内包しています。昨年11月7日に、東大でそれについて質問しましたが、薬事を審査している厚労省のお役人さんは「なにも問題ない」と言い切りました。私にとって信じられない答えが返ってきました。http://blog.drnagao.com/2009/11/post-218.html
今週も22種類の薬を飲んでいる患者さんが風邪で受診されました。この患者さんを例に徹底的に多剤投薬の病理を調べて是正すべきです。想像以上に、根は深いと思います。
いろんな病院と診療科を受診し、実際に22種類の薬を飲んでいる患者さんの投薬内訳は循環器科9種、呼吸器科5種、神経内科1種、泌尿器科2種、内科5種でした。咳がひどいのでレントゲンを撮ると間質性肺炎がありました。薬剤性なのか特発性なのかリウマチに伴う続発性かさっぱり分かりません。風邪薬を出して欲しいと言われますが、私が処方すると、25種類になります。これを見た薬剤師さんは「長尾先生って、アホちゃう?」と思われるので下手に薬を出せません。困りました。
どうしてこうなってしまうのでしょうか?それぞれの科の医師が最低限で最良の処方をしようとした結果が22種類です。笑ってはいけません。それぞれの医師は大真面目です。
私に言わせれば沢山の科があるから薬が増えるのです。1つの科なら絶対に22種類にはなりません。
専門分化は良いように聞こえますが、退化そのものです。22種があたり前の現状、それを誰も止められない現状こそ、「退化」の象徴です。そこで「総合診療」や「統合医療」という概念が登場しますが、なにせ医者がまず拒絶反応を起こします。日本医師会は単純に詐欺まがいの金儲け医療を連想するようです。また、本当に統合されたら、医者の儲けが減るのです。5人の医者がよってたかって診ていたものを、仮に一人で診てしまったら、他の4人の医者の売上が減るわけです。これが悲しいかな医師会の本質かもしれません。
昨年、評判が最悪であった後期高齢者医療制度も、いろんな見方ができます。マスコミは年金からの天引きばかりを煽って報道しましたが、私に言わせれば、末梢問題です。本質は、「かかりつけ医制」と「包括性」にあったことを、ちゃんと報道できたマスコミは皆無でした。
本当のことを言えば、「かかりつけ医制」と「包括性」を分けて、「ゆっくり時間をかけて」実施すればよかったのです。年間150万人が亡くなると言われる2025年問題を乗り切るために、消費税増税が再び囁きはじめています。しかし、いくらお金を集めても無駄も排除しないとやはり破たんするのは自然の理です。
結局、創薬企業の保護と、ジェネリック推進と、統合化(=かかりつけ医化強化)という、三元連立方程式を解くにはいったいどうすればいいのでしょうか?
政治も医師会もマスコミも市民も誰も答えは持っていません。超難問です。不景気から自然な受診抑制が起こり多剤投薬も抑制されているという見方もあります。
自然に任せるしか方法はないのでしょうか?それにしても22種類の投薬という現実は、想像以上に根が深い問題です。
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