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感受性の差

2015年09月11日(金)

このブログは私にストレス発散なのだが、思わぬ副産物もある。
それは、さまざまな方から、実に多様性に富む意見を頂けることだ。
同じ事を書いて受け取る側の感受性の差はこんなに大きいのかと驚く。
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たとえば
「受診を嫌がる認知症の人を病院に連れていく方法」をご紹介したのは、
家族が素人判断で認知症と判断していてもそれが間違っている場合があるから。

よく調べたら、慢性硬膜下血種や転移性脳腫瘍だった、ということが時にある。
治せる認知症は早く治してあげたい、と思うのは異常ではないと思うのだが。

それを「認知症の患者を増やしたい」と曲解する人もおられるので、
同じことを言っても、同意する人、激怒する人、ホントさまざまだ。


たとえば
向精神薬の過剰処方の責任は患者にある、と言っているわけではない。
処方する医師だけを罰しても問題の解決にはならないことを指摘したまで。

安易な初回処方も、患者さんの強い要望に屈せざるを得ないことは現実にある。
もちろん30分かけて非薬物療法を説明するも、どうしてもそれができない、と言う。

じゃあ、一番弱い、依存性の少ない眠剤を少しの間だけ、となる。
しかしこれがコトの始まり。

数年後には立派な依存症になり、強い薬になり、多剤になる、増量を要求してくる。
こうした悪循環を断ち切る考え方を示したわけで、責任転嫁をする話ではない。

医者にしてみれば、身の危険を感じることもある。
同情して、ある程度、要求を受け入れることがあるのは、現場の人なら誰でも分かる。

しかし現場を知らない人や役人さんは、なんでも、「医者がけしからん」となる。
しかし地球の裏側の戦争を、「けしからん」の一言では、解決しないのと同じでそう単純ではない。


たとえば、病院で手術した患者が、その夜に死んだとしよう。

市民や新聞は、「けしからん、あってはならぬこと」と110番して医者の逮捕を迫る。
しかし現場を知るプロは、そんなやり方では、手術をやる人がいなくなると懸念する。


医療事故の場合は、まずは原因究明と再発防止が優先する。
そしてそのプロセスで、、個人責任を追求しないことが大原則だ。

もし調査が、個人の責任追及のためであれば、原因究明に誰も協力しなくなる。
保身のために、嘘をついたり、黙秘するかもしれない。

そうなると過ちは繰り返され、改善にはならない。
事故を繰り返さないための、医療事故調なのだが・・・


たとえば、以上の話を理解できる人と、まったく理解できない人に分れる。
後者は、集会を開いては、「けしからん!」コールを繰り返すことになる。


情報の非対称性と感受性の違いが、誠実な議論を阻むことはよくある。

安保議論もそうかもしれないし、終末期議論も、似たところがたくさんある。
大切なことはいかに複眼的な視点、2.5人称の視点で考えられるかどうか。


議論が嫌いな日本人は、不得意なプロセスなのかもしれない。
しかし、松下幸之助ではないが、異論に耳を傾けなければそこで思考停止する。

このブログでも、そんなことを感じることがある。
でも多様な意見を書き込んでくれる見知らぬみなさまに、感謝申し上げます。


PS)
来年1月10日の「かいご楽快(がっかい)」の実行委員会から今帰った。

北関東では大変なことになってる。
ニュースで知ったが、大災害だ。

自衛隊はこんな時のためにある。
頑張って欲しい。







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この記事へのコメント

「感受性の差」ではなく「事実認識の差」ではありませんか。

まず第一に、誤診被害を生じることなく認知症を的確に診断できる医師がどこにどれだけ存在するのでしょうか? 第二に、医師は、薬害を起こすことなく認知症を改善できるのですか? 発達障害うつ病等を含む精神病もしかり。
おそらく例のごとく「医療の不確実性」とか言って逃げるのでしょう? 実験台になることを勧めるのはいかがなものかと。

「治せる認知症は早く治してあげたい」と、早期受診させた結果、現在の医療制度の下では、薬剤性認知症患者に仕立て上げられてしまう確率は50%以上だと思います。発達障害うつ病等を含む精神病もしかり。

認知症って、薬物治療するべき病気ですか? 発達障害うつ病等を含む精神病もしかり。

私、いつも投稿した後、自分の時間を無駄に使ってバカだなぁ、と思うんです。その分、押せ押せになって超忙しい思いをしなければならない。
でも、長尾先生のような、親の自死を背負って、とてつもない巨悪を改善しようとしている方に、少しでも「現実」jを知っていただければ、と思って投稿してきました。
だって、長尾先生って、象牙の塔の住人みたいなところがあって、ようやく最近になって精神病院のメチャクチャを知ったのですよね。
2015/5/15 精神病院の現実 http://blog.drnagao.com/2015/05/post-4505.html
それまでに私が何度も投稿で言及しているのに何も考えてなかったのかな。実際に同じコメディカルの精神科看護師と話して、ようやくおぞましい地獄を「事実認識」できたのですね。

お医者様って、なんだかんだ言っても俗世と隔絶された世界で生きてる。だから、庶民の感覚がわからない。政治家、教育者、などなど、国家資格で保護されて生きてる人って、やはり「限界」あるのかもしれませんね。

ただ、「いっぱい本を書いてるエライお医者様」のブログに、これだけズケズケムカつくだろうコメントを投稿しているのに、オミットなさらないから、懐の深い人だなぁと、感心しています。

Posted by komachi at 2015年09月11日 05:58 | 返信

前回のブログコメントが曲解に賛同したものだとすれば、申し訳ありませんでした。
ただ前回のブログで取り上げたような「認知症受診干渉活動」を後方支援している製薬会社が自治体などに資金援助をしている事実があります。そういう背景があればそこに深く関与する医者は確実にその製薬会社の薬を判で押したように処方します。もちろん規定通りに強制増量するでしょう。
つまり「世の中はすべてカネ次第で、医療も綺麗ごとでは済まない。カネをたくさん出した者にこそ実権がある」という資本主義社会の中に認知症医療もあるという事です。公務員を動かすのに即時的で効果的なのがカネだという事をよく知る企業こそが勝者なのでしょう。多くのマスコミが批判できないほどその企業の薬を批判する事は医療の世界ではタブーのようです。先生は勇者です。

Posted by ある実践医 at 2015年09月11日 06:49 | 返信

感受性の差 ・・・・・・ を読んで

感受性の差 のブログの中で、長尾先生は、

***************************************

医療事故の場合は、まずは原因究明と再発防止が優先する。
そしてそのプロセスで、個人責任を追求しないことが大原則だ。

もし調査が、個人の責任追及のためであれば、原因究明に誰も
協力しなくなる。
保身のために、嘘をついたり、黙秘するかもしれない。

そうなると過ちは繰り返され、改善にはならない。
事故を繰り返さないための、医療事故調なのだが・・・

***************************************

と書いておられます。

この部分を読んで、私は “米国の司法取引” のことを考え
ずにはいられませんでした。

医療事故ではなく、航空機事故の場合を例に取ると、同様
の事故を回避することを最優先させ、原因の追及に全力を
上げるため、当事者に例え重大な過失があったとしても一切
罪に問わないというはっきりとした不文律が確立されてい
ます。

同じアメリカで、犯罪行為を暴くため、“囮捜査(おとり捜
査)”も日本に較べて大幅に認められているようです。


どちらも一番重要な目的を果たすためであれば、超法規的
な措置も許容するという“国民的な合意”・“社会の共通認識”
があるように思います。


翻って、日本の社会を考えてみると、生真面目な部分があり、
超法規的な対応を許す雰囲気が薄いと感じられます。


日本の社会では、どこまでも個人の責任を追及する風土が
根強くあるため、(馬鹿)正直に事実を喋ると、どんどんと
罪が重たくなる ・・・・・・・・ としたら、どうしても保身のため
嘘をついたり、黙秘をすることになると思います。


( ↑ これは、個人の問題というよりは社会の仕組みに拠る
   ところが大きいと思います。)


だとすると、先生の指摘されていることは、“感受性の差”
というよりは、“立場の違い”或いは、“価値観(常識)の
違い” が、同じ文章を読んでの解釈の違いを生み出している
ように感じます。


私は、20代、30代の頃は、“司法取引” や “囮捜査” には
生理的な嫌悪を感じていましたが、60歳を越えた現在、
“囮捜査”には相変わらず否定的な考えを持っていますが、
“司法取引”には一定の合理性があるように感じ始めてい
ます。


硬直化した社会と柔軟な社会、そのバランス(匙加減)は
難しいですが、日本もそろそろ超硬直化社会からの脱却を
図る時期に来ているように思います。


このことは、“尊厳死(死の自己決定権)”の法制化にも通
じるように思っています。

Posted by 小林 文夫 at 2015年09月12日 01:26 | 返信

認知症は薬物すべき病気か?それは行動心理症状の強いケースに限られると思います。
行動心理症状が激しくなければ薬物は不要で、予防目的であれば各種サプリだけで十分でしょう。
認知症への投薬治療(主としてコリンエステラーゼ阻害剤など抗認知症薬)の目的としては行動心理・精神症状の緩和が目的だけです。認知症を進行を予防する効果は全くないと明記されています。
攻撃性緩和目的でGとM、アパシー緩和目的でDとRが主として使用されますが、この法則を知らずに、特に行動心理症状がない或は攻撃性がある認知症にDばかり処方された方々が攻撃性が悪化してそれに上乗せしてさらにMや抗精神薬が処方されて薬害被害者が激増しているというのが現状です。その駆け込み寺としてコウノメソッドが必要だったという事です。
世の中の神経学会・認知症学会が正しい薬の使い方を指南し、実地医家が正しく使い分けができていればコウノメソッドは必要とされなかった。はっきり言うと「家族が物忘れ⇒受診せよ⇒Dを処方される⇒一生Dを飲むように、中止したら増悪するぞと恫喝」の背景に強大利権に物を言わせた製薬会社の偉大さが感じられます。製薬会社(巨像)からすれば医者など所詮アリみたいなものです。

Posted by ある実践医 at 2015年09月15日 12:17 | 返信

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