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「モルヒネは魔法の薬」

2018年01月10日(水)

「モルヒネは魔法の薬」
これは本のタイトルではなく、患者さんが私に放った言葉。
そして「これまでの10年間は何だったの?」とも言った。
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日本の緩和医療はいったいどうなっているのかな?


これは今ベストセラーになっている「痛い在宅医」
に込めたメッセージのひとつでもある。


お正月に、ある在宅患者さんを初回訪問した。
訪問リハビリを希望されている50歳代の人。

足が悪く、大学病院や専門病院で何度か手術を受けた。
しかし全く歩けない状態で車椅子で室内移動していた。

身体障害者認定などはちゃんと受けていたが、
リハビリの前に「強い痛み」に目が止まった。

私は「いやーんサイン」と勝手に名づけている。
触ろうとすると触る前に「いやーん」と避ける。

まだ触っていないのに痛みを感じる、のだ。

この行為はそこに激しい痛みが存在する証拠であり
患者さんの激しい痛みを医者が感知する仕草である。

リリカが極量まで処方されていた。
しかし「いやーんサイン」が残る。

これは何を意味するのか。

疼痛緩和が充分ではないことを意味する。
すぐに緩和医療の介入が必要である。

しかしこの患者さんは、大学病院の緩和ケア科や
専門病院に何度も長期入院して治療を受けている。

私は、「モルヒネが絶対必要ですよ」と切りだした。
慢性疼痛に対して塩酸モルヒネ錠は保険適応がある。

患者さんは驚き、「ほんまかいな」という目で見つめた。
何人もの権威ある緩和医療の専門家が言わなかったからだ。

緩和医療の専門家が10年診ても治らない痛みを、
町医者が取れるんか?  そんな感じで見られた。

昨日、雨の中、モルヒネを持参して一生懸命に説明した。
「騙されたつもりで1錠だけでも飲んでくださいね」

飲んだ感触を今日、電話で聞いた。

「先生、痛みが見事に消えました。あの薬、魔法みたい」

この言葉を聞いた瞬間、頭の中に2人の女性の顔が浮かんだ。

山形県の加藤佳子先生だ。→こちら
「モルヒネ友の会」の中心。

もう一人は、日本尊厳死協会副理事長であった青木仁子弁護士(故人)である。
青木さんは「あなたの痛みは取れる モルヒネは鎮痛薬の王者」を編集した人。

この2人の女性は凄い人だ。
心から尊敬申し上げている。

おかげで、たった2回の訪問で、10年間続いた痛みを霧散することができた。
患者さんの喜びの声を聞くのは「医者になって良かった!」と思う瞬間である。

実は1回目の訪問時には、四国から勉強に来ていたある医師が同席していた。
帰り道、「日本の緩和医療はどうなっているのか」と思わず呟いてしまった。

以上の話には証人の医師がいる。
もちろん、患者さんが証人だが。


実は、こんな経験が時々、ある。
みんな大学病院の医師が主治医。

もし彼らの緩和医療に点数をつけるなら、申し訳ないがゼロ点だ。
「一体どうなっているんだ、理解不能!」と思うことが時々ある。


しかし彼らが講師になり私に講義するのが国が進める緩和医療施策だ。
エビデンス主義か権威主義なのか、加藤先生も私も全く評価されない。


まあ、患者さんが評価してくれるだけで充分なのだが。

今日はモルヒネが著効したケースについて書いたが、決して万能ではない。
よく効く人は「いやーんサイン」がある人。

実は、モルヒネではなく、ニュープロパッチやビシフロールが著効する痛みもある。
これは「ムズムズ脚症候群」で、これを見抜けた時の喜びもまた格別なものである。

要は、患者さんの痛みを感じる感受性があるのか無いのか。
あるいは「技を学びたい」という意欲があるのか無いのか。

肩書きや理屈や後だしジャンケンならなんとでも言える。
しかし肩書きも無い町医者は、「結果で勝負」しかない。

星野監督は母子家庭で苦労したから他人の「痛み」が分かった。
多く苦労した分、多くの人の力になり、多くの人に慕われた。

苦労が感受性を生み、それが人間を造る。
緩和医療は肩書きではなく感受性である。



PS)
2冊の新刊。
さっそく韓国と台湾の両国から翻訳本のオファーが来た。

早やー












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この記事へのコメント

こんばんは。
先生には大変感謝してます。
脳から離れない痛みに疲れていました。
リハビリを重視しなければ もっと酷くなるのかと思って焦っていました。

モルヒネ処方に戸惑いを感じましたが
助けて 頂きたい気持ちで 処方をしてもらいました。

先生の細やかな診療 配慮に安心で そして あれほど苦しんだ10年が嘘のようでした。

今は患部が触れる事 布団 ズボンへの抵抗が無く 楽です。
むかつきが無くなれば最高です!

いろいろな治療がある事がわかりました。
今夜も ゆっくり寝れそうで 幸せです。

有難うございます。

Posted by 井上 由記 at 2018年01月10日 07:51 | 返信

長尾先生、私も痛みから少しでも解放されたい一人です。
今まで色んな治療をペインクリニックでしてきました。
硬膜外ブロック、硬膜外持続チュービング、脊髄刺激、交感神経ブロック、
でも、今は担当医が替り内服治療が主になりリリカ、カロナール、ロキソニン、ボルタレン、頭痛時にSG顆粒が今の痛み処方です。この間までは、デュロテップパッチが処方されていたのですが、ガイドラインが出来たとかで一度は中止になり、3ヶ月後にまた再開したのですが効果がイマイチで中止にまたなりました。担当医に、デュロテップパッチの代わりになる薬は無いのかと聞くと「無い。そんなのあったら、とっくに処方している」と言われました。私は毎日、全身が痛く背部が痛くなると息が詰まる感じになります。
何度も担当医に痛みの事を話しても理解してもらえていない感じで辛いです。最近は、寝たり起きたりの生活が多くなってきています。寝たきりにならないようにとは思ってはいるのですが…。とにかく辛いの言葉しかありません。ペインクリニックの担当医に痛みの理解をして貰うのに話す事にも疲れてきました。

Posted by さとちゃん at 2018年01月14日 11:25 | 返信

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