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勝手に主治医を変えるケアマネ

2018年01月25日(木)

もう還暦なので、理不尽なことにも、かなり鈍感になってきた。
しかしそれでも、時には激しい怒りを抑えられないことがある。
大変残念なことだが最近は多くが、ケアマネがらみなのである。
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ある施設に入所している認知症の人を診ている。
私たちには穏やかなのに職員には暴力を振るう。

単にその施設の介護スタッフのレベルが低いだけだと思う。
穏やかにするスタッフと暴れさせるスタッフがいるからだ。


しかし、そのケアマネ(外マネ)さんの見方は全く違っていた。
勝手に家族に連絡して、「主治医を精神科に変更」と提案した。

精神科の医師ならば、穏やかになるのだろう、
精神科や精神病院なら認知症が良くなるのだろう、との想いか。

そう言われた家族は期待するし、もう私たちの立場は無くなる。
もちろん私たちに全く無断でそんなことをするケアマネがいる。


そんなケアマネさんに理由を聞くと
・家族の希望、や
・本人のため、というような言い訳をする。

しかしそのケアマネの主観だけで勝手に医療に介入するのは法的にも問題がある。
患者さんと主治医の信頼関係を壊しても平気で「いいことをした」と思っている。

医療は信頼関係で成り立つが、
介護は契約で成り立っている。

だからそんなドライな行動も平気なのだろうか。
正直、私にはそんな行動は理解できないのだが。


そもそも介護保険のマネージャーなのに、
なぜ医療保険の根幹に介入してくるのか。

まったく理解できない。

相談すべきは、主治医であり、
改善すべきは、ケアスタッフ。

家族や施設スタッフに「主治医とよく相談してください」
とアドバイスするのがケアマネが取るべき態度であろう。

もし精神科に紹介する必要があるのであれば、そのような
判断をして紹介状を書くことが、主治医の役割である。


そもそもその施設は、ほとんどが認知症の人が、私たちが診ている。
少し暴れただけで精神科に変えたり、鎮静薬の増量を当たり前のように求めるケアマネ。

そのケアマネも暴れさすケアスタッフも、認知症についての知識が無いだけである。
認知症=精神科と薬、だと思いこんでいる。

その結果がどんなことになるのか。
毎日そんな講演をしているのだが。

とても忙しいのに頑張って「国立(こくりゅう)認知症大学」をやっているが、
そんなケアマネやケアスタッフは宣伝しても、絶対に聞きに来てくれない(悲)。

こんなケアマネさんに遭遇すると、私たちはもうお手上げである。
逆も真なのなのだろうし、一部なのだろうがホントに困ることだ。




以前、なにげなく「やっぱりケアマネが邪魔をする」という記事を書いたら、
2000以上もの「いいねクリック」が押されて、反応の大きさに驚いた。→こちら

これは本ブログの過去10年間で、ダントツ最高のクリック数であった。
そのように思っている医療職がいかに多いのかを、あらためて実感した。


同時に何人かの匿名のケアマネから「殺すぞ!」みたいな脅迫も受けた。
医師がケアマネの悪口を言うと、信じられないくらいの帰り血を浴びる。

しかしとても困ったので、再度、敢えてここに書いておこう。
こうした現実を話し合わない「医療と介護の連携」など絵餅にすぎない。

認知症の人と家族を幸せにするために医療職と介護職が存在する。
地域地域で、立場を尊重しながら相互理解を深める努力が必要だ。



PS)
まさかこの記事にも、クリックが押されるのだろうか。

今回は、匿名ケアマネからの脅迫メールも
そのまま公開することに決めた。


本件は、ケアマネ協会の会長さんにも相談した。
ケアマネ協会としても正面から考えるとのこと。

認知症の人を精神科や精神病院に隔離することがケアマネの仕事ではない
と私は思うのだが間違っていたら教えて欲しい。







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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

最低限の義務として身上配慮義務を負うべき身内はすべて亡くなり、私は介護義務から解放されましたので、もう、自分事ではなく他人事でありますが、
私が介護家族であった時、一番気を遣ったのが医師との関係性です。次が老健においては相談員、一般の老人ホームにおいてはケアマネ、との関係性でした。

三者に共通していることは、本人と過ごす時間が短い、本人をよく知らない、ということです。
にもかかわらず、本人と家族に対して、強大な権力と支配権を握っている。

老健の医師は、50人、100人の入所者の主治医ですから、何らかの症状がある時のみ診に来る以外は、週に一度、まるで大学病院教授医師の回診のように居並ぶ入所者の間を通り過ぎるだけのようです。(私はその「回診」を目撃したわけではありません。)

一般の老人ホームにおいては、在宅訪問診療医師といっても本人と接するのは一ヶ月に2度(隔週往診)、問題なければ3分診療(さえやってないかも)、すべて、看護師からの報告を丸呑みにして診察を終えます。(長尾先生のことではなく私宅の経験です。)

医師に報告を上げる看護師は、介護師からの報告を元にしています。
看護師はだいたい入居者25人に一人、介護師は昼間時間は入居者3人に一人(なんて書いてありますけど、色んな抜け道や言い訳ができることを知りました)。ケアマネは50人に一人が基準らしい(これも色んな抜け道や言い訳でケアマネ不在も経験しました)。

すなわち、時間的に本人と直接に一番長く接することができるのは他ならぬ介護師です。次が看護師。

医師は、本人と直接に接している時間は多くても二週間に一度の3~10分間。

ケアマネは、直接介護しない(できなくなった)人が多いので、本人と関わるのは問題が起きた時とケアプランの更新時だけ、それ以外はすべて介護師からの報告を丸呑み。
相談員にいたっては、所内で生じたトラブルを上手に家族に言い訳することが第一の仕事。

父が亡くなる2ヶ月ほど前から、現場に出て直接介護も積極的に行ってくれるケアマネに出会いました。
本人の日常生活基本動作の困難度を、ケアマネ自身が本人の着替えや排泄介助を行いつつ観察してケアプランを作る、これが本来のケアマネの在り方だと思います。

介護家族にとって一番重要なのは、本人を直接介護してくださる方々の職業レベルとお人柄であります。

本人を直接介護しない(できない)ケアマネは無用の長物。
本人と直接会話しない(できない)医師は雲の上のお殿様。
どちらも、介護家族であった私にとっては「やっかいな存在」でした。

Posted by 匿名 at 2018年01月25日 01:24 | 返信

上の「匿名 at 2018年01月25日 01:24」さんが、私が言いたいことを全て語って下さいました。

介護におけるケアマネって、国家の経済運営における経済企画庁(現・内閣府の経済分析部門)のような存在だなって思いました。←意味分かる人が何人いるか不明な例えですが(笑)

Posted by 通行人 at 2018年01月25日 09:24 | 返信

この問題は認知症だけではなく障害者(特に精神障害)全体に言えることだと思う。いろいろ思い当たることはある。
 ケアマネに限らず支援者と呼ばれる人が、本人のために自分が何ができるかということを考えて動くことができず、ただおとなしくして欲しい、目の前から消えて欲しいという支援者のニーズに大して動いてくれるところをチョイスしていく。ここ一番しんどいときに何らかの力のあるところを一時的に頼るのは仕方ないと思うが、それだけを続けていった結果がどうなるか?。さまざまな悲惨な事件が物語っている。あすは我が身ですぞ。
 当地でも治療できる部分が少ない強度行動障害の方を精神科への入院医療だけでなんとかしてほしいと丸投げしつづけてきた結果、リソースを使い潰し地域の病院でも受け入れにトラウマティックになり受け入れられるところがなくなった。そこで敏腕?コーディネーターがコネをつかって知り合いの偉い医師に頼み遠方の他地域の病院へ入院させたりしていた。そこまではしかたないとしても、そこにもいつまでもいられず当然治療もできず退院。先方の病院の医師から頼まれたので地域の方なら自分の仕事ですから出来ることはやりましょうと引き受けたら、本人にも合う前に敏腕?コーディネータや行政の保健師がドヤドヤとやって来て囲まれた。そこでいきなり「入院をさせて欲しい、入院できる医療機関を紹介してつないで欲しい」と詰め寄られ非常に残念で悲しい思いをしたことがある。この敏腕?コーディネータにはこの一点突破しか手がないのだなぁと・・。
 もちろん医療で出来る部分はきっちりやるが、医療とて魔法のような力はない。あなたの仕事はなんですか、自分の全てを総動員して他あらゆる角度から自分たちに出来ることを検討しましたか、焼畑農業のようなことをいつまで続けるのですか、奇跡が起こるのを、スーパーマンが現れるのをいつまで待っているのですか、あなたには何ができますかと・・。病院だけにいても何もかわらないと学校や施設に出向いたり、自宅へ訪問診療したり、家族支援したり、ロビイングしたりして仲間を増やし・・。思えばそこらへんが出発点。

Posted by といぴ at 2018年01月26日 03:44 | 返信

在宅看取りをしたとき、衝撃的だったのは、看護婦が医療方針を決めたときでした。
頼んでいた事業所は看護婦が力を持っていて、仕事ブリも良かったので、その点は安心できたのですが、最期の1ヶ月、色々と問題が表面化しました。
総括して言いますと、だいぶ前に、親の終末期の話をしたとき、私はフルサポート(救急車を呼ぶ)を希望したところ、看護婦とは意見が違っておりました。どうやらそのときの話し合いで、その看護婦は私に不信を持ったようです。(結局在宅看取りしたんですが)
以後、親に癌が見つかり、その報告などしましたところ、もう1人介護に当たっていた兄弟と話が食い違うと言う理由から、窓口を統一するように言われました。兄弟とは交代で親の看護をしますので、私の担当日には、私が看護婦と会うわけですが、会っても細かい話をする事もできず、要求も伝えられません。窓口を兄弟の方に統一したからです。目の前にいても、後から兄弟に意見を伝え代弁してもらうと言う面倒が起こりいます。さらに、看護婦自体の説明が微妙にずれていることもわかり、兄弟とは頻繁に連絡を取り、「そっちではどう言っていたの?」と確認することが増えました。
最悪だったのは、最期の1週間辺りで、点滴をするかどうかになりましたが、それが何を意味するか説明もなく始まった事。看護婦はそもそも説明が下手な人だったのだと思いますが、私との間ではもはや質問しづらい状況で、話しかけても無視。世間話をすると鼻で笑われ、私の持病を茶化される始末。悪気はないのかもしれませんが、自然と口は重くなります。そこで医師に説明を求めましたら、私の意図をくんでくれて、色々と相談に乗ってくれて、親の癌末期の痛みの軽減の提案と、自然死のための点滴の中止の提案を出してくれて、家族と相談することを勧められました。ちょうど年末でも有り、痛み止め(パッチ)の手配もしておいてくれたようです。ところが、それで看護婦にわかったようで、突然飛んできて、「痛み止めを増やすなら、ホスピスと同じ。だったらホスピスに行って欲しい。私達の看護を待っている人はたくさんいるのだから」と言われました。あと1週間の状態で、病院に入れる気はなかったので、この時点で、選択肢はなくなりました。家族とも話しましたが、もう相談する余地はないという事になりました。その看護婦の事業所に手を引かれたら、在宅は出来なくなりますから。
こうなった原因は、看護婦と医師のコミュニケーション不足です。院長は看護婦とは仲が良かったのですが、もう1人の主治医が看護婦の気に沿わなかったようで、その医師が看護婦に説明なく痛み止め(麻薬)の発注をしたことがかんに障ったようです。そして何より私が、医師と相談したことが気に入らなかったようです。どうして自分に相談しないのか、頭越しに医師に相談するのが許せないと言う事。。そしてその結果が、自分達の理想の看護とは違っていたことが許せないと言う事。
私達家族には、彼女がそう言ったとしか理解できませんでした。
親の死に方は、親自身の意図とも違い、家族の意図でもなく、看護婦の意図で決まりました。
結果を言いますと、病状の点から、誰が何を決定しようと、それほど大きな違いはなかったようです。ただ、看護婦との関係に悶々としていた私には、ようやく私の疑問に正面から答えてくれて、相談に乗ってくれた2人の医師は、あの状況では救いでした。痛み止めを手配した主治医も、ずっと見てくれた人で、この人の見立ては、最初から最後まできっちり正しかったです。私達にとっては良い医師でしたが、結局看護婦の不興を買っていたので、ちょっとかわいそうな扱いでした。(まあ、先生は、看護婦のことなど全く気にしていなかったのかもしれませんが)
病院でも同じようなことはあるでしょうが、在宅だと、こうしたいざこざを、家族がもろに被らされます。親が死ぬという局面で、全く違う意図によって起こるトラブルに巻き込まれるのは、本当にしんどいです。
医師も看護婦も、本当に患者のこと考えてくれているのかなと思った瞬間です。

Posted by 匿名 at 2018年02月04日 04:17 | 返信

たしかに、看護師さんも、へるぱーさんも、いろいろな性格の方や、いろいろな教育を受けた方がいらっしゃいますように思いました。
若くて頭も切れるけれど、自分の価値観で、介護家族を批判する人と、「おかあさ~ん」と言う感じ温かい人、美人でスタイルも良いし、薬については、長尾先生と同じ考えをもってひとりでもどんどん勉強している方と、ケアマネジャーの資格を持っているけど、あえて訪問看護師の職を大事にしている方、でも老人利用者を指で摘便をして、利用者が、身をよじって激しく痛がっているのに、無言で摘便処理を遂行する氷のような訪問看護師さんとか、実に多様だなあと思います。派遣している事業所も、性格の違う二人を組み合わせて派遣している処を見ると、(派遣事務所も)分かっていて派遣しているのかと推察しています。

Posted by にゃんにゃん at 2018年02月04日 01:19 | 返信

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