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木内みどりさんを悼む

2019年12月06日(金)

女優の木内みどりさんが先日、突然死された。
ご縁があったので、これもショックであった。
台湾の尊厳死法が成立したのも彼女の功績だ。
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【ドクター和のニッポン臨終図巻】

「病院で死にたくない」生き方と逝き方を貫いた 女優・木内みどりさん  →こちら

 『巻子の言霊』という作品を知っていますか?
 理不尽な交通事故に遭い寝たきりになった松尾巻子さんと夫の幸郎さんの物語を、ノンフィクション作家の柳原三佳さんが紡いだ一冊です。全身麻痺となった巻子さんが唯一動かせたのは、瞼と眼球。それでも幸郎さんは、妻との会話を諦めませんでした。

 巻子さんが瞼を二度閉じたときは、「はい」。一度のときは、「いいえ」。その後、会話補助装置の文字を一つ一つ追うことで、巻子さんとの会話を深めます。しかし、最初に巻子さんが瞬きで伝えた一文は、「こ・ろ・し・て・く・だ・さ・い」だったのです。

 交通事故の悲劇とともに延命治療の現実を問いかけた本作は、その後NHKでドラマ化されました。
 このドラマで巻子役を演じたのが女優の木内みどりさんでした。

 11月18日、69歳で逝去。死因は心臓突然死との発表です。
 先週のこの連載、俳優の滝口幸広さんのときも触れましたが、突然死とは瞬間的な死、あるいは急性の症状が現れてから24時間以内の自然死のことをいいます。
 木内さんは、死の直前までお元気でした。朗読の仕事のため広島を訪れていた最中の死でした。
 夫の水野誠一氏のフェイスブックによれば、懇親会で飲み語り合い、散歩をしながらホテルに戻ったそうです。その数時間後に、部屋で亡くなったとのこと。
 心臓突然死とは、急性心筋梗塞や致死性不整脈などが起きて心停止、そして脳に血液が循環せずに死に至ることです。発症後1時間以内に亡くなる人が多いようです。

 私は、先の『巻子の言霊』がご縁で、木内さんにはとてもお世話になっていました。5年前、この作品の語り講演を尼崎の市民フォーラムでしてくださったとき、その迫力に鳥肌が立ちました。
 歯に衣(きぬ)着せぬ政治的発言も多いので評論家のように見ていた部分もあったのですが、スゴイ役者さんだ! と改めて感動したのです。

 木内さんは、私が副理事長を務める日本尊厳死協会の会員になられていました。以前、会報誌でこんなことを仰っています。「父が病院の事故で亡くなったとき、病院や医療の恐ろしさを実感しました。病院では死にたくないと思いました。10代の頃から、いつも自分らしくいたいという気持ちがすごくあって、自分の人生の最期の決定権は持っていたい、医療者の勝手にされたくないと…」
 病院で死にたくない。そう願っていても最期は病院のお世話になる人が大半ですが、木内さんは見事に御自身のリビングウイル(生前の意思)を貫きました。
 あまりに突然で、あまりに潔く、残された者は寂しさが募りますが、木内さんらしい生き方と逝き方を貫かれたことに感動しています。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。
外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。
 
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以下は、11月22日に配信スミの有料メルマガ「まぐまぐ」から転載。

さて、まさかこの人の訃報を聞くとは思わな
かった。女優の木内みどりさんの死に、驚い
ている。まだ69歳だ。心臓突然死との発表。
木内さんとは、少なからざるご縁があった。
 
木内さんが尼崎に来てくださり、一緒に講演
会をしたのは、今から5年前の2014年の
ことである。
「巻子の言霊」という作品をご存知だろうか。
柳原三佳さんの渾身のノンフィクション作品。
 
この作品のことを、図らずも「いい夫婦」の
日に紹介することになったことも、もしかし
たら、木内さんの演出かもしれないが…。
「巻子の言霊」は、富山で暮らす松尾幸郎さ
んと妻・巻子さんのご夫婦の物語。
 
幸郎さんに長年連れ添ってきた妻、巻子さん
はある日突然、若者の居眠り運転による交通
事故に遭い、命はとりとめたものの、全身麻
痺となってしまう。2週間ほど意識不明だっ
た巻子さんは、目を覚ました。動かせるのは、
目とまぶただけ。
食事ができないので、胃ろうとなった。
呼吸ができないので、気管挿管され、ペース
メーカーが埋め込まれた。
昔で言う、いわゆる植物状態(今はこの言葉
は禁句だが)となってしまう。
 
しかし、夫の松尾さんは、あきらめなかった。
何を? 妻とのコミュニケーションの手段を
である。
「まぶた」で会話をすることを試みる。
 
巻子さんの脳は、損傷を受けていなかった。
やがて、巻子さんは、「はい」なら、まばた
きをパチパチと2回。「いいえ」なら、目を
閉じるようになった。
会話、ができたのだ。さらに松尾さんは、
「レッツ・チャット」という、意思伝達装置
を導入することを試みる。
巻子さんのまばたきを見ながら、一文字一文
字、松尾さんはひらがな文字を追っていく。
会話ができた!
 
しかし、巻子さんが伝えたかった言葉に、
松尾さんは文字を追いながら呆然となる。
「ま・き・こ・を・こ・ろ・し・て・く・だ
・さ・い」だったのだ…。
 
この「巻子の言霊」は2012年にNHKで
ドラマ化され、幸郎役を故・夏八木勲さん、
そして巻子役を、木内みどりさんが務められ
た。
私は、この本の出版当時よりずっと松尾さん
の活動を応援し、たくさんのことを学ばせて
頂いたため、この物語がドラマ化になった時
は本当に嬉しかったのだ。
 
木内みどりさんも、巻子さんを演じることに
よって、その死生観が大きく変わっていく。
延命治療とは何か? 人の死とは?
意気投合し、2014年の尼崎市民フォーラ
ムにお越しくださり、この「巻子の言霊」の
語り講演をしてくださったのだ。
女優さんの朗読とは、こんなにスゴイものな
のかと、目が離せなかった。
淡々と語りながらも、その一言一言に、巻子
さんの悲しみが、そして巻子さんと同化した
木内さんの怒りが伝わってきて、会場がしん
となったのを覚えている。
 
どうか、そのときの動画をお時間あるときに
見てほしい。うちの国見カメラマンの記録だ。
木内みどりさん、渾身の「語り」
『巻子の言霊』
http://urx3.nu/08Lm
 
その夜、木内さんと食事をした。
尊厳死に大いに賛同してくださり、話がはず
んだ。そして話題は、伊丹十三監督の映画、
『大病人』へ。1993年のこの作品に、
木内みどりさんは、怖い看護婦長役で出られ
ている。津川雅彦さん(この方も亡くなって
しまった…)演じる、超延命主義の大病院の
ドクターを叱り飛ばす役である。
 
私は、何度も何度もこの映画を観ていて、特
に木内さんと津川さんがやり合うシーンが大
好きだと告げたのだ。
「そうそう、あのときの撮影はね本当に津川
さんと取っ組み合いをしたのよ!」
と笑っておられた。
この『大病人』という作品が、台湾がリビン
グウイルを法的担保にするときの原動力にな
ったのですよ、とお伝えしたら、
「知らなかったわ! 台湾でリビングウイルが
法的担保されたことさえ知らなかった。なん
で日本の映画が台湾で原動力になっているの
に、日本ではならないのですか。長尾先生、
もっとしっかりしてくださいよ」
とハッパをかけられた。
 
……木内さん、あなたのご尽力のおかげで、
日本のリビングウイルも今年、一つ前進しま
したよ、今度会ったら、そうお伝えしなくて
はと思っていたのに、それを伝えられぬまま、
突然あの世に旅立ってしまった。
竹を割ったような性格というか、女優らしい
甘さはなく、何かにつけて「潔い」人だった。
 
だけど、死に方までがここまで、潔いなんて。
 
今頃、天国で巻子さんと会っているかもしれ
ない。日本はどんどんダメになっていく…と
怒っておられるかもしれない。
木内みどりさん、たくさんの気づきをありが
とう。心からのご冥福をお祈りします。


@@@@@@@@@@@@@@@@@


木内さんは、2014年5月10日に尼崎にお呼びしている。→こちら

その時のライブ映像もある。
彼女の「語り」(50分)→こちら

皆様が書いてくれた感想文もある。→こちら

この時、舞台の上で彼女に抱きしめられた。
そのあと、一緒に食事をして飲んだ。


彼女の功績のひとつは映画「大病人」の演技だ。→こちら

1993年の伊丹十三監督のこの作品で
2000年の台湾の尊厳死法が成立した。

皮肉なものだ。

日本は、こんな素晴らしい映画を放映しない。
尊厳死を避けて、安楽死に飛びつく愚かさよ・・・

木内さん、そして中村医師と寂しい限りだ。

今週末は、ある偉大な医師を偲ぶ会だ。
私は看取った主治医なので書けないが。




PS)
明日は、松山で丸ちゃんと講演します。→こちら

前夜祭のあとは、たんぽぽの永井先生
オレンジの紅谷先生と一杯やる予定だ。






















 

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